ユビキチンは全て融合蛋白質として翻訳され、ユビキチンヒドロラーゼの働きによってユビキチンモノマーが作られる。出芽酵母UBI4遺伝子は5個のユビキチンがタンデムに繋がった融合蛋白質をコードしているが、細胞内にタンデムユビキチンは検出されない。試験管内の部位指定突然変異誘発法により、ヒドロラーゼの作用を受けないようなタンデムユビキチンを作成し、GAL1プロモーターにより酵母で発現できるような人工遺伝子(2、3、4、6、8量体;それぞれの蛋白質をtUbi2〜8という)を構築した。これらのtUBIを発現させると酵母の増殖は阻害され、ユビキチン依存的蛋白質分解が阻害された。tUbi4〜8はいずれも26Sプロテアソームと結合するが、tUbi2とtUbi3は結合しない。したがって、tUbiの種類によって蛋白質分解のきこうは異なることが予想される。試験管内の蛋白質分解を調べるためには、ユビキチン化した基質が必要である。われわれは、Sic1蛋白質をポリユビキチン化する方法を開発し、それによってtUbiによる26Sプロテアソーム活性の阻害を証明した。tUbiをカエル受精卵に注入したところ、卵割が阻害された。このことから、tUbiは種を越えて、26Sプロテアソームの阻害剤として働くことが予想される。
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