研究課題
CD40はBリンパ球に発現する膜分子で、Bリンパ球における主要な生存シグナル伝達膜分子である。CD40を介するシグナルによりBcl-xLやA1などの抗アポトーシス作用を持つBcl-2ファミリーの分子の発現増強がおこる。また、CD40を介するシグナル伝達によりCDKの発現増強やCDKインヒビターの1つp27kip1の発現の低下を誘導することにより、Bリンパ球の細胞周期回転にも関わる。Bcl-xやA1の強制発現により、Bリンパ球の生存は誘導されるが、細胞周期回転はおこらないので、これまで、CD40を介するBリンパ球の生存と細胞周期回転は独立した分子機構によっておこるものと考えられていた。しかし、Bリンパ球においてp27kip1の発現により細胞周期回転を停止した状態では、CD40を介する生存誘導が有意に減弱することを明らかにした。この結果は、CD40を介する生存には細胞周期回転が重要な役割を果たすことを示し、細胞周期回転が細胞死を制御することを示している。我々は、細胞周期進行による細胞死制御の機構を解明するために、レトロウイルスベクターを用いた効率的遺伝子導入法と、ThymidineやL-MimosineといったG1-S期で細胞周期を阻害する薬剤をもちいてBリンパ球細胞株に細胞死を誘導する系を組み合わせることにより、細胞死耐性を誘導する遺伝子を著明に濃縮する系を樹立した。この系を用いてこれまでに、ApoE、Serf2、PDIP1などの遺伝子断片を単離した。PDIPのsiRNAをレトロウイルスベクターを用いてBリンパ球株に発現させたところ、PDIP1の発現は減弱し、細胞周期回転が低下した。したがって、PDIP1は細胞周期回転に必須の分子であると考えられた。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
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