研究課題
昨年度我々は、Bリンパ球の抗原受容体を介するアポトーシスが細胞周期回転に依存すること、すなわち、抗原受容体架橋により細胞周期の停止がおこり、この細胞周期停止がアポトーシスの誘導に関与することを明らかにした。今年度は、抗原受容体架橋により、活性酸素の産生がおこり、この活性酸素の産生を抗酸化剤により抑制しても細胞周期停止はおこったが、アポトーシスが著明に抑制された。さらに、Bリンパ球にレトロウイルスによりCDKインヒビターを導入した際にも活性酸素の産生が認められ、さらに、抗酸化剤によりCDKイジヒビター産生によるアポトーシスが抑制された。これらの知見から、細胞周期停止に伴い活性酸素の産生がおこり、アポトーシスの誘導に関わることが明らかとなった。さらに、抗原受容体架橋によりJNKやp38MAPKといったストレスキナーゼの活性化がおこるが、これらの活性化が抗酸化剤により阻害され、また、p38MAPKの阻害剤によって抗原受容体架橋によるアポトーシスが阻害されることから、細胞周期停止に伴い活性酸素の産生がおこり、活性酸素がp38MAPKを活性化することによりアポトーシスを誘導することが明らかとなった。さらに、細胞周期停止に伴うアポトーシスを制御する遺伝子の候補として、昨年度ApoEとSerf2を単離したが、Serf2についてはその過剰発現によりCDKインヒビター産生によるアポトーシスを阻害することから、細胞周期停止によるアポトーシスを負に制御することが明らかとなった。さらに、ApoEがBcl-2やMycの産生を制御することが明らかとなり、これらの発現制御を介して細胞周期停止によるアポトーシスを制御することが明らかとなった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Autoimmunity 38
ページ: 331-337
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