本研究はアフリカツメガエル卵無細胞複製系を用いてDNA複製開始と進行の制御機構を明らかにすることを目的としている。今年度は以下の成果を得た。(1)アフリカツメガエルDNA複製因子の同定:アフリカツメガニルRFC大サブユニット、および酵母cut5/Dpb11とMcm10のカエルホモログをクローニングした。また、酵母Sld5およびその関連タンパク質のホモログについてもクローニングを完了している。Sld5ホモログについては卵抽出液の免疫沈殿産物のプロテオーム解析によって複合体を形成している事を確認した。さらに、cut5/Dpb11タンパク質に対する抗体を作成して、卵無細胞系でのDNA複製開始反応に必要であること、カエルCut5の染色体結合がS期CDKの制御下にあることを見いだした(論文準備中)(2)複製開始タンパク質の生化学的な機能解析:複製前と複製中の染色体に結合しているMCM複合体の生化学的な性質を明らかにするため、染色体を超音波処理により可溶化したのち、特異的な抗体を用いてMcmを含むタンパク質複合体を免疫沈殿により精製した。その結果、Cdc45と複合体を形成しているヘテロMcm6量体にATP依存的にDNA二本鎖を1本鎖に開くHelicase活性があることを見いだした。Cdc45と複合体を形成しているMcm6量体は安定であり、この安定化にはS期CDK活性とCdc45タンパク賞が必要なことを明らかにした(論文準備中)。(3)複製複合体の再構成:MCM複合体の染色体へのローディングに必要なアフリカツメガエルCdt1や阻害因子であるgemininnの組替タンパク質を作成した。また、S期CDK活性の標的を明らかにする日的でこれまで同定した複製開始因子のCDKによる試験管内リン酸化を検討している。
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