研究概要 |
本研究はアフリカツメガエル卵無細胞複製系を用いて、DNA複製開始と進行の制御機構を明らかにすることを目的としている。今年度は以下の成果を得た。 1)真核生物のDNA複製の開始と進行に必要とされるMCM2-7複合体が複製開始前に染色体に結合した後、S期CDKおよびCdc45に依存してより強固な複合体に変換されること、強固な複合体にはCdc45が含まれており、タンパク質のリン酸化は複合体の維持には必要がないことを明らかにした。また複製中の染色体を断片化した後、抗MCMあるいは抗Cdc45抗体により部分精製したMCMとCdc45を含む複合体にはDNA helicase様の活性があり、この活性もCDKとCdc45に依存していることから、強固なMCM2-7とCdc45を含む複合体が複製のhelicaseとして働いている可能性があることを初めて明らかにした。(Genes Cells 2003,8) 2)アフリカツメガエルCut5/Dpb11ホモログを同定し、力エル卵抽出液の系を用いてカエルCut5/Dpb11が複製開始に必要であり、その作用機作はCut5/Dpb11の染色体結合後にS期CDKが働き、その後Cdc45の染色体結合が起こることを明らかにした。 3)真核生物の複製開始に必要な新規因子GINS複合体をカエル卵の系を用いて明らかにした。GINS複合体はSld5/Psf1/Psf2/Psf3(go-ichi-ni-san)の四種類のサブユニットから構成された4量体であり、複製開始にはすべてのサブユニットからなる複合体が必要であり、S期CDKとpreRC形成に依存してCdc45と相互依存的に染色体に結合することで複製開始複合体形成の鍵となる蛋白質であることを明らかにした。(Genes & Dev.2003 in press)
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