研究課題
特定領域研究
アフリカツメガエル卵無細胞系と出芽酵母を用いて真核細胞に普遍的な機構と高等動物細胞特異的な機構によりDNA複製の開始と進行が制御されていることを明らかにした。真核細胞に普遍的な機構に関わる新規複製開始因子として出芽酵母からヒトまで高度に保存されている4つの蛋白質からなるGINS複合体が、複製開始装置の組み立て過程に働いていることを明らかにした。またGINS, Cdc45,およびTof1/Tim1, Csm3/Tipin, Mrc1/Claspinという因子がDNA複製装置であるレプリソームの構成因子であることを明らかにした。さらに酵母の複製開始に働いているCut5/Dpb11とSld2/Drc1のホモログとして、Xenopus Cut5とRecQ4を同定した。これら因子は酵母蛋白質と異なる構造を有しているばかりでなく、機能的にも異なる働きをしていることを発見した。このことは高等動物への進化の過程で、複製開始という普遍的な現象を担ういくつかの因子について大きな変化が生じたことを示唆する。出芽酵母第六染色体を詳細に300塩基の解像度で解析可能なタイリングアレイを作成し、この上で様々なタンパクの局在変化および、複製の進行を直接的に(プロモデオキシウリジンの取り込みにより)追跡する事が可能なChIP-chip(Chromatin Immuno-precipitation combined with DNA chip)法を確立した。この手法を用いて、1)DNA複製と細胞周期チェックポイント制御機構の連携機構、及び、2)転写と染色体分配の連携機構(住み分け機構)という、全体像の解析無くしては得る事の出来なかった新たな知見を得ることができた。
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