研究分担者 |
小椋 利彦 奈良先端科学技術大学院大学, 助教授 (60273851)
浅島 誠 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00090564)
阿形 清和 理化学研究所, 発生・再生総合研究センター, グループディレクター (70167831)
多羽田 哲也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10183865)
黒岩 厚 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20134611)
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研究概要 |
本研究は,平成13年度特定領域研究(A)(1)「器官形成・再生システムにおける情報伝達のダイナミクス」を受けて,平成17年度までの4年間に,我々の体を構成する部品である器官(臓器)の形成に関わる遺伝子プログラムのダイナミックな展開の様相を明らかにし,ひいては人工臓器や器官再生といった現在生物医学の焦眉の急になっている社会的要請にも,基盤となる知識や技術,さらにはコンセプトを提供しようとすることである。平成14年度に得られた主要な成果は以下の通りである。(1)ニワトリ胚胃の形成において表皮成長因子やBMPが重要であることが明らかにされ,BMPのアンタゴニストであるDAN遺伝子の発現と機能解析が行われた。また胃の主要な産物であるpepsinogen遺伝子の発現制御機構が詳細に解析され,GATA因子の関与が明瞭に示された(八杉)。(2)アフリカツメガエルのアニマルキャップを用いて器官を形成する試みが継続され,軟骨や眼が誘導された。後者については,それを眼を除去した幼生に移植したところ視神経も形成され,機能的な眼として働きうることが示された(浅島)。(3)肢芽や羽毛の発生に重要なWnt遺伝子群の下流で作用する新規遺伝子V24がクローニングされ,その構造が決定された。この遺伝子は原条,中脳-間脳領域,神経冠,肢芽などで発現しており,組織間相互作用と密接な関係があることが示唆された(黒岩)。(4)肢芽,網膜などの器官形成におけるTbx4,5の役割がひきつづき解析され,これらの遺伝子産物とFGF,Wnt,Hedgehog,BMPなどの成長因子,形態形成因子との関係が明らかになった(小椋)。(5)ショウジョウバエの翅をモデルに,形態形成遺伝子の機能解析が行われ,新たなパターン形成遺伝子がスクリーニングされた。そのうちの一つはHSPGの糖鎖の生合成酵素であり,HSPGがモルフォゲンの伝搬に重要であることが示された(多羽田)。6)プラナリアの頭部形成に関わる遺伝子nou-darakeがクローニングされ,FGFR様遺伝子であることが明らかになり,更にFGF様の脳促進因子と拮抗することが示された(阿形)。このように,本研究班では種々のモデル動物について器官形成に関わる遺伝子が新たにクローニングされ,あるいは既知の遺伝子の機能が詳細に解析されている。これらの成果は多くのメディアでも取り上げられている。
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