研究分担者 |
相原 博昭 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (60167773)
大島 隆義 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (00134651)
日笠 健一 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (20208739)
杉本 章二郎 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20044753)
山中 卓 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (20243157)
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研究概要 |
本特定領域研究は、6つの計画研究(実験5+理論1)と公募研究とからなる。実験の5つの計画研究は、現存する国内外の粒子ファクトリー加速器(トップファクトリー、Bファクトリー、Kファクトリー)を使って「質量の起源と超対称性物理」に迫る。本領域の研究目的は質量起源のビッグス粒子を直接・間接に探査すること,及び,ファクトリー加速器を用いた精密実験で「標準理論からのずれ」を発見して新しい物理の手がかりを得ることによって,質量起源の解明に寄与することであった。理論研究は実験データをもとに、どのような事象に注目すべきか、現在の測定値からどのような理論的考察ができるかなどについて、実験グループに対して適切かつ迅速なフィードバックができるよう留意して独創的研究を推進した。 本研究領域においては,上記の研究目的に関して3つの大きな成果があがっている。一つは,ヒッグス粒子の間接探索により,95%の信頼度でヒッグス粒子の質量を114GeV/c^2〜166GeV/c^2という狭い範囲に限定することができたことである。これはヒッグス粒子についての知見の大きな進展であり,今後の直接探索に重要な指標を与えることができた。第2には,標準理論を超える新理論の手がかりとして,トップファクトリー,Bファクトリー,Kファクトリー加速器を用いて測定を行なってきた結果,これまでにない高精度で標準理論を検証できたことである。第3の成果としては,標準理論を超える新理論の手がかりとして,Bファクトリー加速器を用いた実験において,b→s遷移崩壊過程のCP非対称度を測定した結果に「標準理論からのずれ」が見えたことである。これらの成果は素粒子物理学の発展を加速した。また,この理解の進展は初期宇宙のより深い理解につながっていく。また本研究領域では,5年間の研究期間に31名の博士号取得者を出している。その多くは,現在,国内・海外の研究施設において世界第一線の先端科学研究に取り組み,成果をあげつつある。このことに端的に表れているように,若手研究者の育成という観点からも素粒子物理および関連分野へ貢献した。
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