重力波研究の新しい展開

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13048101
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 坪野 公夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10125271)
• 研究分担者: 中村 卓史 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80155837) ; 黒田 和明 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (00242165) ; 藤本 眞克 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 教授 (90107475) ; 三尾 典克 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (70209724) ; 川村 静児 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 助教授 (40301725)
• キーワード: 重力波 / レーザー干渉計 / ブラックホール / 中性子星 / 連星合体 / 一般相対論 / 重力理論 / 精密計測

研究概要

本領域の目的は、TAMA計画の成果とこれまで開発してきた低温化技術をはじめとするさまざまな干渉計の技術をさらに発展させ、重力波天文学の扉を開くための礎を築くことにある。具体的には、TAMA300、次世代干渉計R&D、理論、干渉計技術応用の4本柱の計画研究を策定し、それに公募研究を加えて上記の目的達成をめざす。研究者が有機的な関係を保ちながら上記の目的を遂行できるように、総括班は各計画研究および公募研究の進行状況を把握し、全体として整合性のとれた領域運営ができるようつとめる。
まず研究面の実績では、TAMA300重力波検出器の長期間安定運転があげられる。TAMA300は現在世界最高感度を達成しており、50日間で1000時間以上の観測データを蓄積するなど、重力波天文学の実現に向けて着実な成果を挙げている。現在進めているパワーリサイクリング技術等の導入により、今後さらに検出器の高感度化と高安定化が図られる見込みである。また、次世代干渉計に向けてのR&Dにおいても、低温技術、防振技術、鏡材料技術などで成果が得られた。海外のプロジェクトとの技術協力も活発に行われ、重力波データ解析、SAS防振系開発などで国際共同研究の実績があがっている。
2月には総括班主催で、第2回「TAMAシンポジウム」を3日間にわたって東京大学で開催した。招聘外国人の7人を含めて83名が参加し、検出器の世界情勢、技術開発動向、データ解析、重力波源の理論などについて活発な議論を行った。また、京大基研では「重力波研究の発展と将来」と題する国内会議がもたれた。
総括班内部の活動としては、2001年9月以降に2回の全体会議および1回の総括班会議をもち、今後の研究の進め方や組織運営について話し合った。

研究成果

• [文献書誌] K.Yamamoto: "Experimental Study of Thermal Noise Caused by an Inhomogeneously Distributed Loss"Phys. Lett. A. 280-5-6. 289-296 (2001)
• [文献書誌] H.Tagoshi: "The First Search of Gravitational Waves from Inspiraling Compact Binaries using TAMA300 data"Phys. Rev. D. 63-6. 1-5 (2001)
• [文献書誌] K.Numata: "Measurement of the Mechanical Loss of Crystalline Samples using a Nodal Support"Phys. Lett. A. 284-4-5. 162-171 (2001)
• [文献書誌] M.Ando: "Stable Operation of a 300-m Laser Interferometer with Sufficient Sensitivity to Detect Gravitational-Wave Events within Our Galaxy"Phys. Rev. Lett.. 86-18. 3950-3954 (2001)
• [文献書誌] H.Nakano: "Self-force on a scalar charge in circular orbit around a Schwarzschild black hole"Prog. Theor. Phys.. 106. 339-362 (2001)
• [文献書誌] U.Gen: "Radion on the de Sitter brane"Pros. Theor. Phys.. 105. 591-606 (2001)
• [文献書誌] K.Takaichi: "Chromium doped Y_3Al_5O_<12> ceramics -a novel saturable absorber for passively Q-switched one-micron solid state lasers"Jpn. J. Appl. Phys.. 41. L96-L98 (2002)
• [文献書誌] H.Yoneda: "High-power terahertz radiation emitter with diamond photoconductive switch array"Appl. Opt.. 40. 6733-6736 (2001)
• [文献書誌] Mitsur Musha: "Intensity and frequency noise characteristics of coherently-added two injection-locked Nd : YAG lasers"Appl. Phys. B. 73. 209-213 (2001)
• [文献書誌] K.Nakao: "Response of Interferornetric Detectors to Scalar Gravitational Waves"Phys. Rev. D. 63. 082001-082014 (2001)
• [文献書誌] N.Seto: "Possibility of Direct Measurement of the Acceleration of the Universe Using 0.1 Hz Band Laser Interferometer Gravitational Wave Antenna in Space"Phys. Rev. Lett.. 87. 221103-221106 (2001)
• [文献書誌] U.Gen: "Radion on the de Sitter brane"Prog. Theor. Phys.. 105. 591-606 (2001)