研究課題
細胞にとって、タンパク質の存在状態の移り変わり(生成・成熟・輸送・品質管理・分解など)の適切な管理は、生存の基本的な要件である。本特定領域研究では、これを「タンパク質の一生」と題して研究を行ってきた。本特定領域では、ゴードン会議のような集中的な全体班会議を年1度おこない、インフォーマルで貴重な情報交換の場としてニュースレターを年2回発行してきた。一方で班員にはなるべく負担をかけず、研究推進に集中できるよう配慮してきた。今までのところ、期待通りの研究成果が得られており、「タンパク質の一生」の全局面で意義の大きい発見が生まれてきている。その結果、何人かの班員の研究室は、文字通り世界をリードする研究グループに成長した。具体的な成果をいくつか列挙する。GroELとGroESの接触部位Leu309の疎水性が変性タンパク質を閉じ込めるに必要な残基であり、変性タンパク質の閉じ込みメカニズムを説明できるようになった。異常蛋白質の修復を担うClpBのコイルド-コイル構造の動きに相関した2つのATP結合部位の協同性の存在を明らかにした。これによって変性タンパク質の閉じ込みメカニズムをうまく説明できるようになった。tRNAの核への移行には既知の輸送装置ではなく、特別な輸送装置が関わっていることを発見した。生存に必須なATPase依存性プロテアーゼであるFtsHが変性タンパク質をC末端からN末端方向にプロセッシブに分解することを発見した。小胞体において異常蛋白質の除去に働くDer1の動物細胞のホモログとしてDerlin-2,3を同定し、これらがEDEM, p97と複合体を形成して異常蛋白質の除去に働いていることを新たに発見した。今後もこのペースで領域研究を推進していきたい。
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