研究概要 |
DsbB-DsbA複合体の結晶構造解析に成功し、DsbBにおけるジスルフィド創生の構造基盤を明らかにすると同時に、DsbBがシステイン再配置機構によって、DsbA酸化能力を獲得することを提唱した。ERADに関しては、Man8レクチン様因子EDEMを発見した。EDEMはマンノーストリミング依存的に、ミスフォールドしたタンパク質のERADを促進する。オートファゴソーム形成に必須なAtg5を全身で欠損するマウスは出生直後に深刻な栄養不良に陥り致死となるが、このマウスは出生時にすでに肝や一部の神経細胞内にユビキチン陽性封入体が蓄積していることが判明した。小胞体のストレス応答では、最初に活性化されるATF6により分子シャペロンが転写誘導され、異常タンパク質の折れたたみは促進される。しかし、これで間に合わなければ、次いで活性化されるXBP1により分子シャペロンのみならずERAD因子(EDEMやDerlin-2など)が転写誘導され、異常タンパク質は折れたたみと同時に分解処理も受けるという時間差レスポンスを見出した。ATP依存性のプロテアーゼであるFtsHの主要部分の結晶構造を明らかにした。脱凝集活性を持つClpBの結晶構造の解析に成功した。シャペロニンの作用機構として、1分子観察から2タイマー説を提唱した、外膜リポタンパク質の輸送を担うLolシステムについて,構成因子の発見,仕分けシグナル認識機構の解明,輸送反応のin vitro再構成系の確立, LolAとLolBの結晶構造の決定をおこなった。ヒトペルオキシソーム欠損症の病因遺伝子として,ペルオキシソーム形成に関わる因子の全貌解明に近づいた。真核細胞型のシャペロニンがポリグルタミンの凝集形成を阻害して、神経細胞死を抑制することを明らかにした。酵母プリオンの伝播に関わるシャペロンHsp104がATP依存的にSup35線維の分断に関わることを発見した。
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