2003-2007年度の5年にわたる特定領域研究「蛋白質の一生」の成果取りまとめを以下のように行った。まず、研究成果報告書(250ページ)を作成した。これは、計画班員(12名)と公募班員(115名)の全員が各自の成果を述べて発表論文と海外の国際学会で口頭発表(招待講演、あるいはこれに準じる講演)をリストし、巻頭には顕著な成果を概括した。これを見れば、各班員の成果の内容だけでなく、その国際的な注目度もはっきりとわかる。また「キーワード:蛋白質の一生」(08年5月、共立出版)を上梓した。成果についてお互いに検討評価批判し今後の発展を議論するために、2007年11月22日-23日、成果発表会を行った。班員88名が参加した。時間を十分にとって、計画班員が5年間め研究の総括と今後の研究の方向について発表し、議論した。ついで、班員全員がポスター発表を行った。この5年間の進歩と次の課題について参加者の意見がおおむね一致したことを述べる。小胞体関連のストレス応答の理解は大きく進んだが不要蛋白質の認識や分解などまだ未解明の重要問題が残されている。ミトコンドリアやゴルジ体のストレス応答が次の目標として認識される。細胞の蛋白質のSS結合の管理の理解も大幅に進んだが次の課題は全体像と機構(構造)の解明である。蛋白質の分泌の理解はますます詳細に理解されるようになった。次の課題はその分子的理解と残された機構未知の分泌系の解明である。シャペロンの分子機構の理解の前進は地味であった。既存の分子機構モデルを再検討して研究する必要がある。細胞生理における重要な蛋白質分解の機能や新規の分子が多く発見された。さらに探索を続ける価値がある。一般に、さらに構造を知ることは大事であり、また動態を追求する新しいメソッドが求められている。そしてすべての分野において、病気との関連の究明も課題となる。
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