研究課題/領域番号 |
13116201
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
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研究分担者 |
小松 賢志 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80124577)
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キーワード | NBS / AT / NBS1 / 電離放射線 / DN二重鎖切断 / ATM / ノックアウトマウス / フォーカス |
研究概要 |
我々が作成したNBS1ノックアウトマウスは、胎齢8.5-9.5dpcで致死となることがわかった。そこで、致死をきたす直前の8.5dpc胚から細胞を採取したところ、細胞は生存可能であり、ヒトの患者細胞と同様に放射線感受性と染色体不安定性を示すことが確認された。また、極めてまれにNBS1欠損細胞のモザイク個体が得られ、このマウスが早老症および配偶子形成異常を示すことから、DNA修復異常と個体の老化促進との関連性が示唆された。 ニワトリDT40細胞でNBS1欠損細胞を作成して相同組換え能を検討したところ、NBS1欠損細胞は野生型の約1/100程度にまで組換え能が低下していることを見出した。この結果は、NBS1が相同組換え修復に必須の蛋白であることを示す。 また、NBS1は放射線照射後30分後に核内フォーカスを形成するが、これに先だって照射数分以内にヒストンH2AXがフォーカスを形成する。我々は、このH2AXフォーカスがNBS1と共局在すること、ヒストンH2AXとNBS1が共沈することなどを明らかにした。以上の結果から、放射線照射によってDNAが切断されると、DNA切断部位のヒストンが再配列を起こし、H2AXがATMによってリン酸化される。次に、NBS1はFHA/BRCTドメインを介してリン酸化H2AXと結合して、hMre11/hRad50を細胞質から同部位にリクルートし、DNA修復が開始するというモデルを提唱した。
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