研究概要 |
移動期の始原生殖細胞(PGC)と胚盤胞を用いたサブトラクションcDNAスクリーニングにより得られた候補クローンのマウス胚での発現を、ホールマウントin situハイブリダイゼーション法によりさらに詳しく調べたところ、ヒトインターフェロン誘導性遺伝子ファミリーの遺伝子であるB97R,B47-2が、7.25日胚の、形成直後のPGCで発現していることが明らかになり、これら遺伝子がPGCの発生運命の決定に関与することが示唆された。また、細胞内分子の核移行に関与することが知られている、RAN binding protein / importin 13をコードしているB94遺伝子が移動期の始原生殖細胞で発現しており、さらに成体精巣で特異的に発現しているサイズの異なるmRNAが存在していることが確認され、生殖細胞での特異的な機能が予想された。一方、Igf2r遺伝子のメチル化インプリンティング消去については、メチル化配列を網羅的に解析できるbisulfate法により解析したところ、これまでに行ったHpaII-PCR法では脱メチル化が認められなかった10.5日胚のPGCでも脱メチル化を起こしているものが存在することがわかり、より早い発生段階のPGCから脱メチル化が開始していることが示された。さらに、メチル化領域全体にわたって、脱メチル化が非同調的に進行していることを示唆する結果が得られ、メチル化部位に個別的な制御により脱メチル化が起こることが考えられた。
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