超小型薄層ゲル電気泳動を用いるオンサイト環境曝露評価マイクロシステムの開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13124201
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 梅村 知也 群馬大学, 工学部, 助手 (10312901)
• 研究分担者: 伊永 隆史 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30124788) ; 角田 欣一 群馬大学, 工学部, 教授 (30175468)
• キーワード: 二次元電気泳動 / タンパク質 / 等電点電気泳動 / 光導波路 / 界面 / マイクロチップ / 質量分析 / インターフェイス

研究概要

1.タンパク質分析用高速二次元電気泳動法の開発
タンパク質の輸送効率に優れたMultifilament String-Gelを用いる高速二次元電気泳動法を開発した。等電点電気泳動を高速化するため、高電圧を印加できるよう装置を改良した。着色したタンパク質を標準試料として等電点分離性能を評価したところ、最大430V/cmの高電圧の印加が可能となり、泳動時間は2時間から30分に短縮できた。実試料である大腸菌およびトリ骨格筋の抽出物の二次元電気泳動分離に本法を適用し、一次元目に2時間、二次元目に1時間で分離が達成でき、従来法より少なくとも3倍以上高速であった。本法の高速二次元電気泳動法としての有用性が示された。
2.光導波現象を利用する界面の新計測法の開発
マイクロチップや液液界面などの微小空間における計測には分解能の高い高感度な検出法が要望される。光導波現象は媒体の屈折率の違いに起因する現象であり、微小空間においても有用であると考えられた。そこで光導波現象を利用した新たな界面計測法を開発した。内径1.1mmのキャピラリー管内に二相のシースフローを形成させ、この流体中の液液界面および固液界面における分子を光導波路を用いて計測し、新たな微小空間計測法としての可能性を示した。
3.オンサイト大気環境曝露評価マイクロシステムの開発
前処理チップとしてのマイクロチップと試作小型質量分析計とを接続し、加圧系から真空系へ試料を導入するのに最適なインターフェイスについて研究した。ポリマー系またはシリカ系モノリスの充填率、カラム長、圧力損失などについて実験検討した結果、インターフェイスの接続は、開発したギアポンプ超小型作による微少液体駆動装置に適合させ、モノリス構造体を有するキャピラリーカラムを用いれば、nLオーダーの超微量送液と圧力制御が可能であることを見出した。

研究成果

• [文献書誌] H.Takiguchi, T.Odake, M.Ozaki, T.Umemura, K.Tsunoda: "A Liquid/Liquid Optical Waveguide Using Sheath Flow as a New Tool for Liquid/Liquid Interfacial Measurement"Applied Spectroscopy. 57(8). 1039-1041 (2003)
• [文献書誌] K.Tsunoda, T.Umemura, H.Ueno, E.Okuno, H.Akaiwa: "Adsorption of Methylene Blue onto Silylated Silica Surfaces studied using Visible Attenuated Total Reflection Spectroscopy with a Slab Optical Waveguide"Applied Spectroscopy. 57(10). 1273-1277 (2003)
• [文献書誌] 伊永隆史: "マイクロTAS接続に適したマイクロ質量分析装置の開発"日本農芸化学会誌. 77(9). 876-879 (2003)
• [文献書誌] M.Kumemura, T.Korenaga: "Droplets formation from microfluidic device for sampling and measurement of atmospheric nitrogen dioxide"Analyst. 129(2). 105-106 (2004)
• [文献書誌] 伊永隆史(分担): "ナノバイオテクノロジーの最前線「マイクロ化学プロセスに適したマイクロ質量分析システム」"シーエムシー出版. 439 (2003)