マイクロ環境制御器中の高機能細胞によるセンシングシステム

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13124204
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90134642)
• 研究分担者: 民谷 栄一 北陸先端科学技術大学, 材料化学研究科, 教授 (60179893)
• キーワード: マイクロマシン / 流体 / ナノバイオ / 細胞利用センシング / 細胞培養 / 表面処理

研究概要

本研究は、アレルギー反応に係わる肥満細胞、記憶機能に係わる脳神経細胞などをマイクロチップ中で培養し、これらの細胞の機能と応答を評価する。限られた空間内で高機能細胞の培養と維持を行うため、容器壁への微細構造の付加や表面修飾、温度や培養液条件などのマイクロ環境制御を可能とするマイクロシステムを構築することを目標とする。
1.マイクロ流路内の動物細胞を用いたアレルギーセンサ
本研究では、アレルギー応答という動物細胞の高次機能を利用した反応を、PDMSにより作製したMicrofluidicデバイス上で発現させ、新規細胞チップの開発を行った。昨年度は、チップ上においても肥満細胞がアレルギー応答を示し、その検出を行えることを確認した。しかしながら、チップ上での細胞の直接培養法はチャンネル内の試薬による汚染等の問題を抱え、今後、定量的検出を視野に入れるためにはチャンバー内の汚染を憂慮しないチップ構造、もしくは細胞のチップ内への新規配置方法が求められた。そこで、種々の試薬によるチップ内の汚染を最小限に抑える、微小担体を利用した肥満細胞の2段階配置法について検討した。微小担体の作製では、SU-8の2段階リソグラフィーによる凸部の作製により、担体同士の重なり合いによる不具合を最小限にすることができた。また、チップ内に導入した担体を、疎水性相互作用を利用して疎水性部位配置・固定化することができた。
2,マイクロ流路内の神経細胞培養
微細加工技術を用いて格子状に連なったマイクロ流路を作製し、そこに電極をそこに電極を挿入した64チャンネルの細胞応答測定システムを作製した。そして、ニワトリの胚から取り出した脳神経細胞を培養して神経ネットワークを形成させ、電気化学応答を測定した。その結果、良好に神経細胞のネットワークが形成され、約4週間に渡って、細胞応答が観察された。また、P19胚性癌腫細胞においても、同様な結果が得られた。

研究成果

• [文献書誌] Laurent Griscom: "Techiniques for patterning and guidance of primary culture neurons on micro-electrode arrays"Sensors and Actuators B : Chemical Volume 83. Issues 1-3. 15-21 (2002)
• [文献書誌] Fabrice Morin: "Controlling Cell Development by Microfluidic Techiniques : a Step Towards Whole-cell Biosensors with Defined Biological Features"Proceeding of the μ TAS 2002 Symposium,3-7November 2002,Nara, Japan. Vol.1. 515-517 (2002)
• [文献書誌] Agnes Tixier-Mita: "To Place Cells as an Array Using Aspiration Technique"Proceeding of the μ TAS 2002 Symposium 3-7November 2002,Nara, Japan. Vol.2. 888-890 (2002)
• [文献書誌] Hiroyuki Fujita: "Micro/Nano Machined Devices Probing into Nano/Bio World"Proceeding of the μ TAS 2002 Symposium 3-7November 2002,Nara, Japan. Vol.2. 912-917 (2002)
• [文献書誌] Z.-L.Zhi: "Microfabricated Addressable Particles for Multianalyte Immunoassay"Proceedings of 16th IEEE International Conf.on MEMS,19-23 January,2003,Kyoto, Japan. 411-141 (2003)