研究概要 |
マイクロチップ上の微小チャネル内で電気泳動を行うマイクロチップ電気泳動(MCE)が,新しい超微量分析法として注目されている。従来のキャピラリー電気泳動において中性物質の分析を可能としたミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)をMCEと同様にマイクロチップ上で実行するマイクロチップMEKC(MCMEKC),及びミクロ高速液体クロマトグラフィーとCEの特徴を合わせ持つキャピラリー電気クロマトグラフィー(CEC)をマイクロチップ上で実行するマイクロチップ電気クロマトグラフィー(MCEC)を,微小分離分析及び精製法として確立させることを主要な目的とした研究を行った。 MCMEKCでは,検出感度向上を目指して,通常のMEKCにおいて利用されているスタッキング及びスウィーピングを利用するオンライン試料濃縮法を実行するための新たなデザインのチャネル(ダブルT-クロス型,トリプルT型など)を製作し,その評価を行って,より高い効率のオンライン試料濃縮の実現を目指した検討を行った。 MCECでは,不飽和ポリエステル及びその共重合体をマイクロチャネル基材としたマイクロチップを作製し,不飽和ポリエステルのチップ基材としての性質を明らかにすると共に,チャネル内表面への機能性付与についての基礎的検討を行った。また,チャネル作製時に種々の部材やリアクターを組み込んだ機能付加型マイクロチャネルについて検討した。さらに,マイクロチップの特定の位置に,任意の機能を組み込むことを可能とする方法を考案した。 また,質量分析法(MS)をMCEの検出法として利用するMCE-MS構築のためのインターフェースの開発研究も並行して推進し,外径を細く絞った短いキャピラリーをチップ端面に接続することにより安定なイオン化が達成され,ペプチド混合物をMCE-MSで良好に分離検出できることを明らかにした。
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