研究概要 |
マイクロチップ電気泳動(MCE)を高性能分離・精製法として適用するために以下の検討を行った。 1.マイクロチップミセル動電クロマトグラフィーにおいてオンライン試料濃縮法(SRW, SRMM, Sweeping)を実行するために,新たなチャネルデザインのマイクロチップを製作し性能評価を行った。従来法に比べ10〜100倍程度の濃度検出感度の向上を達成した。 2.MCEにおいて熱レンズ顕微鏡とオンライン試料濃縮法とを組み合わせることによる高感度検出法の開発について検討し,従来法に比べ500倍程度の検出感度向上を達成した。 3.質量分析法(MS)をMCEの検出法とするMCE-MSのためのインターフェースの開発研究を行い,液絡部とスプレーチップとを併用することで安定なエレクトロスプレーイオン化を達成し,またチャネル表面の改質により幅広い等電点値を持つペプチド混合物を良好に分離・検出できることを明らかにした今後タンパク質分析を中心に,各種生体関連試料の分離分析に有用な手法として適用可能であることを立証した。 4.マイクロチップ電気クロマトグラフィーにおいて,チップ素材に不飽和ポリエステル及びその共重合体やポリジメチルシロキサン(PDMS)を用い,チャネル作成時に種々の部材やリアクターを組み込んだマイクロチャネル作製について検討した。PDMSマイクロチップ内に組み込んだLEDを光源に光ファイバーを検出窓及び蛍光の導光に使用したところ,良好な検出限界(フルオレセイン:5×10^<-7>M,スルホローダミン101:5×10^<-6>M)と再現性が得られた。チャネル内壁への機能性付与の応用として,光化学反応によりマイクロチャネルの特定部分に酵素を固定化したマイクロリアクターチップ及びこれを多段用いた複合連続エンザイムリアクターを作製し,実用化の可能性を示した。
|