研究概要 |
(1)ハイドロゲルをキャリアに用いた生体分子ハンドリングシステム(庄子・船津) 前年度の知見をもとに1分子レベルでの生体分子ハンドリングを目的としたマイクロ流体システムの基本構造を実現した。前年度はハイドロゲルとしてメチルセルロース(MC)を用いたが,ゾル-ゲル転移温度が高いために生体分子への影響が懸念された。そこで,MCの代わりにメビオールゲルを用いて,転移温度を36℃に低減した。また,フォトマルを用いた蛍光観測系とPC制御レーザ光学制御系を組み合わせて,自動ソーテイングシステムを実現し,ソート速度約100msecを実現した。 (2)高機能マイクロミキサ・サンプルインジェクタ(庄子) マイクロスケールの流路内の流体の性賃を考慮した高機能マイクロミキサおよびサンプルインジェクタの設計・試作・評価を行った。設計に当たっては有限要素法マイクロ流体解析ツールを活用し,設計の高率化をはかった。マイクロリアクタとしては,2液間の界面の面積を増大させるため,高アスペクト比構造のマイクロセルを作成し,さらに2液を多層化することにより高効率化をはかった。また,シースフローを有効に利用した新しいタイプの1入力-2出力サンブルインジェクタを実現した。いずれも解析結果と試作デバイスの観測結果を比較し,解析の有効性が実証できた。 (3)反応・検出マイクロセルの基礎検討(庄子・本間) 前年度の知見をもとにしてシリコーンゴムの一種であるPDMSを用いたマイクロセル中に金属薄膜を3次元的に埋め込む技術を開発した。これにより,温度の制御を実現を確認した。また,高アスペクト比レジスト構造と多層めっき技術による高アスペクト比櫛歯電極形成を実現し,電気化学検出の高感度化の可能性を実証した。
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