新規の反応場の構築として、アルドラーゼ反応類似型抗体酵素をイオン性液体中に保持させ繰り返し使用可能な反応場、すなわちアルドラーゼ反応類似型改変コンポジット酵素による反応場の構築を行うことを目的としていくつかの実験を検討してきた。13年度においては、各種のアセトン誘導体とアルデヒド類の反応を検討した結果、アセトン誘導体としては、ヒドロキシアセトンが基質として用いることができ、アルデヒド類としては、フッ素化されたアルデヒド類が基質として利用できることを明らかにし、その結果を学術誌J.Fluorine Chem.(中)に投稿中である。今年度は、このイオン性液体-アルドラーゼ反応類似型改変コンポジット酵素による反応場をマイケル反応の場として利用することを検討した。アルドラーゼ反応類似型抗体酵素とアセトン誘導体から生成するエナミン体は、マイケル受容体として反応性の高いトリフルオロアクリル酸エステルを反応基質として用いることによりスムーズにマイケル付加反応を進行させることが判明した。 生成物を反応系から分離したのち反応場に再度基質類を添加することにより、同じマイケル付加反応を行うことが出来ることを明らかにし、数回の使用も可能であることを実験により示し、イオン性液体を反応場の構築に利用することが可能であることを明らかにした。しかしながら、昨年度設備備品として購入した高速液体クロマトグラフを用いて光学純度の測定を行ったが現時点では単離精製した目的化合物の光学純度は低く、デアステレオマー比も低いことが判明した。さらに、フッ素系イミン類を反応基質として用いることによりアミノ基部位が欠落したジオール類が得られており現在詳細な反応機構について検討している。
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