新規の反応場の構築として、アルドラーゼ反応類似型抗体酵素をイオン性液体中に保持させ繰り返し使用可能な反応場、すなわちイオン性液体-アルドラーゼ反応類似型改変コンポジット酵素による反応場の構築を目指して、これまで各種のアセトン誘導体とアルデヒド類の反応を検討し、アセトン誘導体としては、ヒドロキシアセトンが基質として用いることができ、アルデヒド類としては、フッ素化されたアルデヒド類が基質として利用できることを明らかにしてきた。本年は、このイオン性液体-アルドラーゼ反応類似型改変コンポジット酵素による反応場とイオン性液体-不斉有機分子系反応場における相違に注目して研究を展開した。基質としてアルデヒドを用いアルドラーゼや不斉有機分子との反応から生成するエナミンとMichael受容体であるフッ素系オレフィンとのMichael反応における両触媒の作用機構について検討した。不斉有機分子系では、Michael付加反応で生成した物質にさらに同じ反応が繰り返しおこり、生成物が複雑化しているのに対してアルドラーゼ系では、第一段階目の反応で生成物のアルデヒド類が酸化され酸へと変化しており、第二段階のMichael付加反応が抑えられていることが判明した。
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