研究課題/領域番号 |
13125203
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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研究分担者 |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
藤井 郁雄 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (70189984)
吉村 徹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70182821)
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キーワード | コンポジット生体触媒 / 鉄硫黄クラスター / Suf / ジヒドロピリミジン |
研究概要 |
本年度は、まず鉄硫黄クラスター含有タンパク質の構築原理を明らかにすることを目的として、E.coliのSufタンパク質群による鉄硫黄クラスター形成機構の解析を行った。鉄硫黄クラスター形成においては、足場タンパク質SufA上に形成される不安定な鉄硫黄クラスターが、他のアポ型鉄硫黄タンパク質に転移されると考えられている。そこで、SufAの鉄硫黄クラスター再構成において、SufA以外のSufタンパク質群がどのような影響を与えるかを調べた。SufS+L-システインまたはNa_2Sを加えたものに比べて、SufS+SufE+L-ジステインを加えた場合に最も鉄硫黄クラスターの形成効率が高いことが明らかとなった。また、SufS+SufE+SufBCD複合体+L-システィン+ATPを加えた場合、一旦形成されたSufAの鉄硫黄クラスターが減少することが示唆された。このことは、SufAの鉄硫黄クラスターが他の鉄硫黄タンパク質に移行する過程にSufBCD複合体が関与する可能性を示唆すると考えられた。 本年度はまた、新規鉄硫黄タンパグ質であるb2146とYeiAをE.coliに見出し、その機能解析を行った。b2146とYeiAを大腸菌により高発現させ、ニッケルキレートカラムにより精製した結果、ほとんどのタンパク質は鉄硫黄クラスターを保持していないアポ型タンパク質として発現された。スペクトル解析の結果、b2146は鉄硫黄クラスターとFADを、YeiAは鉄硫黄クラスターをタンパク質中に保持していた。嫌気条件下で鉄硫黄クラスターを再構成したb2146-YeiAはNADH依存性のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ活性を示した。大腸菌野生株由来のタンパク質と、鉄硫黄クラスター形成能を欠くiscS欠損株由来のタンパク質を2次元電気泳動により分離し、比較した。その結果、iscS欠損株において発現量が低下している2つのタンパク質を見出した。N末端アミノ酸配列の解析の結果、それらのタンパク質はCytidine deaminaseとUridine phosphorylaseであった。DPD、Cytidine、deaminase、Uridine phosphorylaseはいずれもピリミジン代謝経路の酵素である。このことからiscS欠損はピリミジン代謝経路に影響を与えることが強く示唆された。
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