• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

ピリドキサール酵素のプロトン移動過程の解明に基づくコンポジット触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 13125209
研究機関大阪医科大学

研究代表者

林 秀行  大阪医科大学, 医学部, 助教授 (00183913)

研究分担者 矢野 貴人  大阪医科大学, 医学部, 講師 (40239827)
倉光 成紀  大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60153368)
鏡山 博行  大阪医科大学, 医学部, 教授 (80028555)
水口 博之  大阪医科大学, 医学部, 助手 (40247838)
キーワードプロトン移動 / pKa / 触媒反応機構 / アミノ基転移酵素 / 自由エネルギー / コンフォメーション / スフィンゴ脂質 / 立体化学
研究概要

アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AAT)は炭素数4個の基質(C4基質)と5個の基質(C5基質)の両方を基質とする.この二重の基質認識機構を前年度に引き続き解析した.遷移相速度論的解析・分光学的解析により,C4基質とAATのミハエリス複合体が閉じたコンフォメーションを取っているのと異なり,C5基質とAATのミハエリス複合体は開いたコンフォメーションを取っていることが判明した.一方,ミハエリス複合体から1段階進んだ外アルジミン複合体(活性部位において基質アミノ酸と補酵素ピリドキサールリン酸がシッフ塩基を形成したもの)においてはC5基質とAATの複合体もC4基質とAATの複合体と同様に閉じたコンフォメーションを取っていることをX線結晶解析で明らかにした.そこで,C5基質との反応においては開いた構造であるミハエリス複合体を閉じた構造である外アルジミン複合体にエネルギー的に近づけるための方策が必要となる.C5基質のミハエリス複合体のモデルであるグルタル酸とピリドキサミンリン酸型AATの結晶構造を用いて構造を比較したところ,C4基質のミハエリス複合体では活性部位表面の疎水性残基群が閉じたコンフォメーションになる際に互いに強く相互作用しているが,C5基質のミハエリス複合体ではこの相互作用が消失しているのがそのエネルギー準位を高めている理由であることが判明した.事実,この疎水性残基群の1つであるTyr70のベンゼン環を消失させる変異ではC5基質に対するk_<cat>が大幅に低下することが示された.このようにしてAATの疎水性残基群がAATのC5基質の結合(K_m値)を犠牲にして最大反応速度(k_<cat>値)を増大している機構を担っていることを明らかにし,触媒パーツの機能を基質認識パーツが高めているというコンポジット触媒としてのパーツ間の有機的な相互作用の形態を明らかにした.
この他,セリンパルミトイルトランスフェラーゼにおいて反応パーツの多彩な機能を基質認識パーツが制御している機構を明らかにした.これは電子軌道のオーバーラップを制御するという立体化学的な機構に基づいており,AATとは別の意味で興味深い知見である.

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] Ikushiro, H.: "Reactions of serine plamitoyltransferase with serine and molecular mechanisms of the actions of serine derivatives as inhibitors."Biochemistry. 43・4. 1082-1092 (2004)

  • [文献書誌] Goto, M.: "Crystal structures of glutamine : Phenylpyruvate aminotransferase from Thermus thermophilus HB8: Induced fit and substrate recognition"J.Biol.Chem.(Epub ahead of print : M311575200). 279(in press). (2004)

  • [文献書誌] Nakai, Y.: "Yeast Nfs1p is involved in thio-modification of both mitochondrial and cytoplasmic tRNAs"J.Biol.Chem.(Epub ahead of print : M312448200). 279(in press). (2004)

  • [文献書誌] Matsuda, N.: "Instability of the apo from of aromatic L-amino Acid decarboxylase in vivo and in vitro : implications for the involvement of the flexible loop that covers the active site"J.Biochem.. 135・1. 33-42 (2004)

  • [文献書誌] Hosono, A.: "Glutamine : phyenylpuruvate aminotransferase from an extremely thermophilic bacterium, Thermus thermophilus HB8"J.Biochem.. 134・6. 843-851 (2003)

  • [文献書誌] Omi, R.: "Crystal structures of threonine synthase from Thermus thermophilus HB8: conformational change, substrate recognition, and mechanism"J.Biol.Chem.. 278・46. 46035-46045 (2003)

  • [文献書誌] Islam, M.M.: "Reaction of aspartate aminotransferase with C5-dicarboxylic acids : comparison with the reaction with C4-dicarboxylic acids"J.Biochem.. 134・2. 277-285 (2003)

  • [文献書誌] Mizuguchi, H.: "Characterization of histidinol phosphate aminotransferase from Escherichia coli"Biochim.Biophys.Acta. 1647・1-2. 321-324 (2003)

  • [文献書誌] Goto, M.: "Crystal structures of branched-chain amino acid aminotransferase complexed with glutamate and glutarate : true reaction intermediate and double substrate recognition of the enzyme"Biochemistry. 42・13. 3725-3733 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi