研究課題/領域番号 |
13126203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
久保 百司 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90241538)
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研究分担者 |
高見 誠一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (40311550)
宮本 明 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50093076)
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キーワード | 移動現象 / 触媒反応場 / 分子シミュレーション / 反応工学 / 触媒化学 / 触媒分子反応工学 / 微量ドーパント / 過剰電子 |
研究概要 |
近年、第一原理計算に代表される理論化学・計算化学が触媒開発に大きなインパクトを与えるようになってきた。しかし、これらの情報は「触媒化学」が目的とする原子・分子レベルでの触媒材料の設計には役立つが、物質移動、物質拡散などは完全に無視されているため、「反応工学」とは全くかい離した研究分野であった。本研究領域全体の目的である「触媒化学」と「反応工学」を融合した「触媒分子反応工学」と呼ばれる研究分野の確立が求められて久しいが、計算化学の分野からは「触媒分子反応工学」に対するアプローチは全く行われていない。 そこで、昨年度は化学反応と物質移動の両方を扱うことができる新規な高速化量子分子動力学計算プログラムの開発に成功した。さらに本年度は、上記プログラムを活用することによって、「新しい触媒反応場」を理論的に設計することに成功した。具体的には、メタノール合成触媒であるCu/ZnOのZnサイトにn型ドーパントを加えると、このドーパントによって生成した過剰電子が触媒表面上に局在化することでZnO微粒子のシンタリングが抑制され、触媒活性を向上させることができることを提言した。つまり、微量のn型ドーパントを添加することにより、触媒微粒子表面の電子状態を著しく変化させることができるという「新しい触媒反応場」を提言することに成功した。また、この計算結果は東北大の他のグループにより実験的にも検証された。さらに、このような微量のドーパントが触媒粒子の成長、触媒活性に与える影響を一般化し、触媒における微量ドーパントの設計理論を構築することにも成功した。
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