研究概要 |
ジベンゾチオフェンの水素化脱硫反応において、873K〜1073K窒化処理12.5wt%MoO_3/Al_2O_3触媒および673K硫化触媒は、反応初期の急激な活性低下と中期以降の緩慢な活性低下がみられた。窒化処理触媒に関して、反応時間0〜3時間で反応速度は原子比N/MoおよびS/Moとの間には正の相関性、原子比C/Moに対して負の相関性があった。したがって、反応初期では窒化物中の窒素の脱離および炭素堆積により触媒は劣化し、硫化度が高いほど初期劣化は抑制されると考えられた。しかしながら、3時間以降においては反応速度は原子比N/MoおよびS/Mo比に負の相関性が観察されるがC/Mo比では観察されなかった。このことは、中期以降の緩慢な劣化は窒素の脱離と硫化物形成によると考えられた。Mo種の価数分布はMo種のうちMo^<2+>(およびMo^0)は窒化処理温度の上昇とともに高くなり、TOF(反応速度およびCO吸着量より算出)と同じ挙動を示し、このことはジベンゾチオフェンの水素化脱硫の反応初期ではMo^<2+>(およびMo^0)(Mo窒化物)上で進行すると考えられる。 窒化触媒と硫化触媒について、劣化関数 ψ(t)={r_1^0exp(-α_1t)+r_2^0exp(-α_2t)}/r^0 を用い、劣化度の経時変化にフィッティングさせ、劣化定数(α_1:初期劣化,α_2:中期以降)を求め、初期段階と中期以降の段階で劣化原因を検討した。劣化定数α_1と3時間の原子比C/Moの関係および劣化定数α_2と14時間の原子比S/Moの関係から、上記の初期および中期以降の触媒劣化と窒素の脱離、炭素堆積および硫化物形成との関係の妥当性を確認した。また973K12.5wt% MoO_3/Al_2O^3窒化処理触媒は673K硫化触媒および他の窒化処理触媒よりも転化率10%に到達する時間が長く、水素化脱硫反応に対して長寿命触媒であるが示された。
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