研究概要 |
XPSおよびXAFSによるキャラクタリゼーション:Zr酸化物触媒のXPSスペクトルからSiO_2およびMCM-41に担持したZr^<4+>種の3d_<5/2>ピ-ク位置は,バルクのZrO_2に比べ高結合エネルギー側へシフトした。Al_2O_3担持やTiO_2担持ではシフトがそれほど顕著ではなかった。また,XAFSスペクトルの解析から,SiO_2およびMCM-41担持Zr酸化物触媒では,Al_2O_3,TiO_2担持およびバルクのZrO_2に比べ,最近接酸素原子の配位数が小さく,高分散に担持されていることが示唆された。Zr酸化物触媒で高い水素移行活性が見られたのは,SiO_2上でZr酸化物が高分散し,活性表面積が高まるとともにZr^<4+>の電子密度が低下しルイス酸性が強まるためであると考察される。共同研究の吸着ベンズアルデヒドのアンモニア滴定法を用いて,現在,担持ZrおよびSn酸化物触媒の活性表面積を評価中である。 MCM-41担持Sn酸化物触媒上でのアセトフェノンノ還元反応: 含浸法触媒では,担持率Sn重量換算で20%まで活性が増大し,以後緩やかに収率が低下する。同時に示したBET表面積から顕著な細孔閉塞などは認められず,Zr酸化物粒子の凝集による活性表面積の低下のためだと思われる。効率的にSn酸化物を細孔内に導入する目的でTIE法で調製し,アセトフェノンノ還元反応を行った。含浸法に比べ高い活性は得られていないが,イオン交換の条件・方法などを最適化することで改善される可能性がある。現在,DTA-TGによる解析をともに行い,検討中である。
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