研究概要 |
メタンのリフォーミング反応は著しい吸熱反応であるため,外部供給熱量を低減化させることが望まれている。本研究では,従来法では達成が困難であった,メタンの自熱的リフォーミングプロセスの性能向上を最終目的とし,そのためナノ粒子の中に酸化反応場とリフォーミング反応場の2つの反応場を有する全く新しい構造の触媒を創製し,各反応場の反応速度を制御することを検討する。本年度は、中心金属微粒子を多孔性シリカで被覆した触媒(以降SC粒子と略記)の創製とそのシリカ被覆層の厚さの制御について検討した。また,中心金属の耐シンタリング性の向上,およびシリカ層の厚さの制御によるNO-CO反応特性の向上に関しても検討を行った。SC粒子は次の手順で調製した。ポリオキシエチレンセチルエーテル(C15)/シクロヘキサン系マイクロエマルション中で各種金属錯体のナノ粒子を合成し,そのナノ粒子が分散した溶液中でケイ酸エチル(TEOS)の加水分解を行って,SC粒子前駆体の沈殿を得た。その沈殿に洗浄,焼成,還元処理を施してSC粒子を得た。触媒の耐シンタリング性を調べるため,900℃で12時間の空気焼成を行った(以降,この処理を熱処理と表記)。 2つの反応場を有するナノ粒子触媒において,中心反応場の反応速度を制御するにはシリカ被覆層の構造制御が不可欠となる。そこで,シリカ被覆Rh触媒において,TEOSの加水分解時間と,Rhに対するTEOSの相対添加量を変える方法によりシリカ被覆層の厚さの制御を行ったところ,シリカ層厚さを8〜38nmの範囲で制御することができた。また,SC粒子は中心金属をシリカで被覆しているため,SC粒子(被覆構造)が高い耐シンタリング性を有することが明らかとなった。 シリカ層厚さの異なるSC粒子の熱処理前後におけるNO-CO反応特性を調べた。シリカ被覆層21nm以下のSC粒子は含浸法触媒と変わらないほどの高い活性を示した。次に,熱処理の影響を比較すると,シリカ層厚さ8nmのSC粒子が熱処理による活性劣化が最も小さく,シリカ層の薄いSC粒子は,憂れた耐熱性を示すことがわかった。
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