研究課題/領域番号 |
13126218
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高橋 武重 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20041543)
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研究分担者 |
甲斐 敬美 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (00177312)
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キーワード | 溶媒効果 / ベックマン転位反応 / 触媒寿命 / 活性劣化機構 / 酸化プロピレン生成反応 / 酸化プロプレン加水分解 / 溶媒・反応物中間体 / 新規ゼオライト |
研究概要 |
固体触媒を用いる反応で、その反応雰囲気を変えることにより、触媒活性、選択性そして寿命が変化する現象があることはよく知られている。しかし、これを定量的に表そうとした試みは少ない。本研究では、気相ベックマン転位反応を種々の溶媒および希釈ガスの下で行い、目的性生物への選択率および活性劣化速度に及ぼすこれらの影響について検討した。また、液相での過酸化水素によるプロピレンのエポキシ化をTS-1触媒の下で行い、酸化プロピレンの生成および分解反応速度に及ぼす希釈溶媒の影響について検討した。また、反応速度を精密に求めることから、反応機構および活性劣化機構の考察を行った。 ベックマン転位反応では、プロトンをもつアルコール類を希釈溶媒とするとき、活性劣化が最小になった。また、活性劣化は生成物のε-カプロラクタムが触媒表面で重合反応を起こし、その中の4量体が触媒表面に強く吸着することによることを見出した。そして、表面に堆積する重合物を洗い流す作用が大きな溶媒が触媒寿命の延長に役立つことを報告した。また、プロピレンのエポキシ化では、メタノールのような溶媒が生成反応に効果的であるが、その分解反応も促進する効果があった。また、TS-1触煤に代わる触媒として、チタンを含むSSZ-31触媒を調製して反応を行った。その結果、酸化プロピレンの生成速度がTS-1よりも大きくなった。その理由は、SSZ-31はTS-1に比較して大きな細孔を有するため、溶媒中に存在する反応物質が触媒表面に接近しやすくなったものと考えられた。しかし、SSZ-31では酸化プロピレンの分解反応も大きくなった。今後ぐ分解反応を抑制するために触媒の組成を変化させたい。 このように、気相および液相で行われる固体触媒反応の溶媒あるいは希釈ガスを変化させることにより、新しい反応場ができ、反応速度および選択性を制御できると考えられた。
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