研究概要 |
流通式マイクロ波プラズマ反応装置を用いた.詳細は次の通りである.マイクロ波(2.45GHz)は導波管(縦54.6mm,横109.2mm)を通じて,垂直に設置した円筒形石英製反応管(内径25mm,長さ300mm)の中央部に照射してプラズマを生成させた.[1]プラズマと分子状ガスとの接触反応では,1本のアルミナ管を石英製反応管中に挿入し分子状ガスを導入した.[2]触媒はシリカウールで支持し管中央部に充填した.生成物の分析はGCおよびGC-MSで行った.GCの検出器としてはTCDまたはFIDを用いた. [1]プラズマと分子状ガスとの反応性の検討 メタンプラズマから生じる炭化水素および水素ラジカル種と分子状酸素との反応性を検討した結果,酸素分子が接触することで一酸化炭素の収率が水蒸気に比べ大きい知見を得た.このことから,分子状酸素は水素ラジカルに比べ炭化水素ラジカルと優先的に反応することを明らかとした.また,分子状メタンと酸素ラジカルの反応から,酸素プラズマ生成領域と分子状メタンの供給位置が近い条件では,プラズマ状態のメタンに分子状酸素を接触させた場合と同様の生成物収率となる知見を得た.しかし,酸素プラズマ生成領域に対してメタン供給位置を遠ざけるにつれ,水蒸気,二酸化炭素の収率が増すことを明らかとした. [2]メタンプラズマに対する分子状水素の添加,および固体触媒の複合効果の検討 メタンへのマイクロ波照射で生じたラジカル種とPt/Al_2O_3触媒に接触させる前段で,メタンプラズマに分子状水素を添加した系での検討から,分子状水素/メタンプラズマ比を変化させた場合,分子状水素/メタンプラズマ比が1においてエチレン収率が72%となり極大を示すことを明らかとした.このことより,メタンプラズマとPt/Al_2O_3触媒を接触させた場合に比べ,メタンプラズマに分子状水素を添加した後にPt/Al_2O_3触媒と接触させることで,エチレン収率が向上する知見を得た.
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