研究課題/領域番号 |
13127103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川崎 昌博 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (70110723)
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研究分担者 |
高橋 けんし 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (10303596)
石渡 孝 広島市立大学, 情報科学科, 教授 (40134811)
松見 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (30209605)
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キーワード | 酸化ハロゲン / ジメチルスルフィド / 吸収分光法 / オゾン / 励起酸素原子 / ラジカル / 大気化学 / 酸化窒素 |
研究概要 |
対流圏は我々の生活する場であり、そこでは自然起源・人為由来の大気微量成分が相互に関連して複雑な大気化学反応が起こっている。たとえば、OHラジカルは大自然起源および人為起源の大部分の大気微量気体と反応し大気圏から除去する作用を持つ。それゆえ温室効果ガスであるメタン、炭化水素、フロンなどの対流圏の寿命を決めている。しかし、OHラジカル対流圏濃度のモデル計算は実測値の20-100%を再現しているに過ぎない。このように現在でも解明されたとは言い難い状況にある対流圏における化学反応過程をよく検討し、反応速度を正確に測定することにより、モデル予測の精度を向上させ将来予測を精緻にすることが可能となる。対流圏の化学過程は海洋境界層や自由対流圏・上部対流圏によって大きく異なり複雑であるので、化学反応機構の解明を行うにあたっては、人為汚染が少なくバックグラウンドの対流圏化学をまず検討することとした。本研究班では海洋境界層中での大気化学反応過程を解明することを目的として、ラジカルの生成と消滅の複雑なサイクル反応について光分解反応も含む信頼性の高い室内実験を行った。海洋境界層では、海洋を起源とするハロゲン原子・含ハロゲンラジカルが連鎖反応に関与し、大気微量成分に影響を与えている。たとえば、北極域春期にみられる海面近傍オゾンの急激な減少にはBrOラジカルが関与している。同じ時期に採取されたエアロゾル中の臭素濃度は増加することから、ハロゲンはエアロゾル生成にも関与している。中緯度海洋大気においては塩素分子の光解離によって日中に塩素原子が生成し、OHラジカルと同様に炭化水素類の酸化開始剤としてはたらく。これらの反応は大気圧下で起こるためラジカルと他の大気成分との付加体生成が生成しラジカル連鎖反応に影響する可能性がある。
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