研究課題/領域番号 |
13127203
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鷲田 伸明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70101045)
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研究分担者 |
猪俣 敏 国立環境研究所, 大気圏環境部, 研究員 (80270586)
藤村 陽 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00222266)
若林 知成 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30273428)
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キーワード | 大気汚染防止・浄化 / 大気化学 / フリーラジカル / ラジカル反応 / 質量分析 / 連鎖反応 / ジメチルスルヒド / 酸化反応 |
研究概要 |
フリーラジカル反応が大気の化学において重要であることは云うまでもないが、大気中で極微量(多くてppb、通常はpptかそれ以下)にしか存在しないラジカルが大気化学において大きな役割を演じるためには、反応系が連鎖反応であることが必要である。近年要請されている大気環境変動要因の解明のためには、いままで見落とされていたラジカル反応を見直し、厳密に研究する必要がある。光イオン化質量分析法はフリーラジカルをイオン化の際にフラグメントを起さずに親イオンのまま検出できるため、フリーラジカルの直接検出に対して極めて優れた方法であり、これまで多数のラジカル反応の反応速度や反応機構の研究に用いられてきた。さらに最近我々は装置の改良により従来より100倍の感度向上に成功し、これまで検出できなかったラジカルの検出を可能にし、さらに反応速度、反応機構測定の精度も大幅に向上できた。本研究ではこの装置の特徴を生かして、重要でありながら研究が十分でない新しいラジカル反応の研究と、新しいラジカル連鎖反応の提案を行う。本年度は主に以下の二つのテーマで研究を行った。 1)硫黄循環に係わる連鎖反応の研究:海洋起源硫黄化合物であるジメチルスルヒド(DMS)が大気中の反応でどのようにしてSO_2やSO_3に変換しうるかについて、CH_3S,CH_3SO,CH_3SO_2ラジカルの酸化反応を研究することにより解明を試みた。特にCH_3SO_2ラジカルが存在するのか、またはCH_3+SO_2に解離するのかに問題を絞って研究し、主には解離であることが判明した。 2)NO_x収支に係わるラジカル反応の研究:CH_3+NO_2、NH_2+CH_3O_2等、NO_x収支に係わる反応でありながら、研究が不十分なラジカル反応の反応速度、反応機構が決定された。 3)・RO2ラジカルの反応:CH_3O_2ラジカルと含硫黄フリーラジカルの反応速度を決定し、RO_2ラジカルの大気中での酸化剤としての役割を評価した。
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