リビングラジカル重合による星型ポリマーの合成 ルテニウム錯体を用いたリヒングラジカル重合により、メタクリル酸メチルのリビングラジカル重合を行い、得られた直鎖状のリビングポリマーをアミド基や水酸基を有するジビニル化合物でリンキング反応させることにより、核部分に官能基を有する星型ポリマーを90%以上の高収率で合成した。生成ポリマーは、サイズ排除クロマトグラフ多角度光散乱検出器で測定した結果、分子量が数十万から数百万、枝の本数が数十本から数百本で、大きさが数ナノから数十ナノメーターのサイズであり、反応条件によりこれらの制御が可能なことが明らかとなった。この星型ポリマーは中心核に多数の極性官能基を有しており、核部分は、カルボン酸、アルコール、アミンなどのプロトン性の低分子化合物と相互作用するが、ケトンやエステルなどの非プロトン性化合物とは相互作用しないことが核磁気共鳴分光装置により確認され、選択的な低分子捕捉能を示すことがわかった。また、核部分の親水性の性質と枝ポリマーの親油性の性質とを利用すると、水溶性の色素を水相から有機相へ抽出可能であることが明らかとなった。さらに、ホスフィンなどの官能基を有するモノマーの存在下でリビングポリマーのリンキング反応を行うことにより、核部分に金属錯体が導入可能なことを生成ポリマーの紫外・可視分光器測定により明らかにした。 重付加反応を用いた星型ポリマーの合成 これまで、星型ポリマーはリヒングポリマーとジビニル化合物の反応により合成されてきた。本研究では、ポリマー結合反応に逐次重合反応を用いる新しい合成法を開発した。たとえば、ビニルエーテル類のリビングカチオン重合により、側鎖に水酸基を持つ直鎖状ブロックポリマーを合成し、次いで、このポリマーと二官能性イソシアナートを反応させ、核にウレタン結合を多数含む星型ポリマーが合成出来ることを明らかにした。
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