研究分担者 |
内田 達也 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (30261548)
山口 央 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手
西沢 精一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40281969)
石坂 昌司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80311520)
石岡 寿雄 九州大学, 大学院・総合理工学府, 助手 (60304838)
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研究概要 |
液液界面分子認識について,表面界面張力,液液界面イオン移動,表面第二高調波発生(SHG)の測定により検討した。界面張力測定では,アニオン認識部位としてチオウロニウム基を有するモノ型及びこれにチオ尿素基を付加したビス型のレセプターを新規合成して界面認職能を検討した。これらのレセプターはバルク溶液中ではリン酸二水素イオンに対しては殆ど結合しないが液液界面では強い選択性を示すことが分かった。特にビス型では,昨年度検討したレセプターよりも1桁以上の界面吸着定数の変化が認められた。また,界面イオン移動の測定では,認識部位としてチオ尿素基を2個持つレセプターとアニオンとの液液界面における錯生成反応を検討した。その結果アニオンの種類により錯体の化学量論が異なることを見いだし,親水性の強い硫酸イオンに対してレセプターが2:1で結合することが分かった。SHGを用いた液液界面イオン認識の検討では,アゾベンゼンをSHG活性グループとし,15クラウン5を認織部位とするレセプター分子について,液液界面におけるアルカリ金属イオン認識能を検討した。液液界面における錯体のSHGスペクトルがバルク溶液中の吸収スペクトルよりも長波長シフトすることからアゾベンゼン基は水よりも低極性の場に存在することが示され,金属イオンの種類によるSHG強度の変化から界面におけるイオンの選択性は抽出選択性と同じ傾向にあることが示された。また,入射偏光依存性の測定により錯生成に伴う分子の配向変化を評価した結果,アゾベンゼンの分子軸は錯生成によって界面と平行になる方向に傾くことが明らかとなった。液液界面自体の構造について,アンスロイルオキシ基を蛍光団に有するプローブ分子を用いて時間分解計測を行った結果,油水界面におけるダイナミックストークスシフトを初めて観測し,界面における優先的溶媒和構造の存在を明らかとした。
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