| 研究概要 |
油/水界面を経由したイオン移動,電子移動過程に焦点を絞り,1.非分極性の単一微小球状油/水界面を経由した移動過程の計測・解析,2.分極性のマクロな油/水界面を経由した移動過程の計測・解析,の観点から検討した。
1.高感度な光検出器を新たに導入することにより1〜2μmの単一微小油滴で起こる界面物質移動を観測できるレーザー捕捉-分光-電気化学装置を完成した。この手法を用いて単一微小油滴/水界面を経由して,(フェロセニルメチル)トリメチルアンモニウムイオンとPF_6^-またはアニオン性界面活性剤がイオン対抽出される過程の速度論的解析を行った。抽出速度は界面吸着を伴わない場合は,カチオンかアニオンのどちらかのイオン移動過程に支配されるが,界面吸着を伴う場合は,両方のイオンの移動が律速になることを明らかにした。また,フェロセン誘導体とヘキサシアノ鉄(III)イオン間の界面電子移動過程の液間電位差依存性の解析を行い,電子移動速度は生成したイオンの界面移動速度に大きく依存することを明らかにした。
2.マクロな分極性油/水界面系で種々の酸化還元対を用いて,電子移動過程を解析した。どちらかの化学種が他相に分配したり,界面に吸着する場合,電子移動速は効率良く起こるが,これらが起こらない場合,極めて電子移動は起こりにくいことを,シミュレーション,理論モデルを提案して議論した。また,1.のイオン対抽出に対応する個々のイオンについて,物質移動過程を測定し,1.の結果と合わせてメカニズム解析を行った。
|
