液液界面における単一分子反応と集合錯体形成反応の速度論的研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13129204
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 渡會 仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30091771)
• 研究分担者: 文珠四郎 秀昭 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80191071) ; 塚原 聡 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50207338) ; 木原 壮林 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 教授 (60161543) ; 永谷 広久 兵庫教育大学, 自然系教育講座, 助手 (90346297) ; 福本 敬夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10199268)
• キーワード: 液液界面 / 単一分子拡散 / 界面集合体 / 分子認識 / 遠心液膜・顕微ラマン / 界面質量分析法 / 二相マイクロシースフロー法 / 極大波

研究概要

液液界面に吸着した単一蛍光分子の拡散ダイナミクスの全内部蛍光顕微測定により、液液界面の粘性を見積もる方法を構築した。すなわち、ドデカン/水界面に吸着した単一インドシアニン分子の横拡散速度の測定に成功した。Pd(II)ピリジルアゾ錯体の界面集合反応とそれに伴う吸光係数の著しい減少が、添加するジアジンの幾何異性体の分子構造に依存することを発見し、この現象の分子認識機能を示した。新しい界面直接分光法として、遠心液膜/顕微ラマン測定法を開発し、界面に生成したピリジルアゾ錯体の状態分析と界面ナノ領域の極性プローブに成功した。さらに、二相系において生成する錯体の構造測定法として、二相マイクロフロー直接導入ESI/MS法を開発し、この方法が界面錯体の検出に有用であることを示唆した。また、1ms以内の界面高速反応の新しい測定法として二相マイクロシースフロー顕微蛍光法を開発し、界面生成直後の反応測定を実現した。
生体膜を介したイオンおよび電子の透過反応とそれに関わる電気化学反応を模擬し、いくつかの新反応を明らかにした。たとえば、親水性イオン(M^<Z+>)のOからWへの移動を示すボルタモグラムには極大波が観察された。これは、Wへ移動したM^<Z+>がO中の疎水性対イオンとイオン対を形成して界面に吸着し、界面の撹拌を誘起するためである。

研究成果

• [文献書誌] T.Tokimoto, S.Tsukahara, H.Watarai: "Measurement of fast interfacial complexation rate by two-phase sheath flow laser-induced microscopic fluorometry"Anal. Sci.. 17. i1245-i1247 (2001)
• [文献書誌] N.Fujiwara, S.Tsukahara, H.Watarai: "Time-resolved rotational anisotropy for palladium(II)-tetrapyridylporphine complex assemblies formed at toluene-water interface"Anal. Sci.. 17. i1231-i1234 (2001)
• [文献書誌] H.Watarai, A.Matsumoto, T.Fukumoto: "Direct electrospray ionization mass spectroscopic measurement of micro-flow oil/water system"Anal. Sci.. 18. 367-368 (2002)
• [文献書誌] S.Tsukahara, H.Watarai: "Kinetics for acid-dissocation of tetraphenylporphinetetrasulfonate in the ground state measured by laser photolysis relaxation method"Phys. Chem. Chem. Phys.. 4. 1592-1597 (2002)
• [文献書誌] A.Ohashi, H.Watarai: "Azo-imine resonance in palladium(II)-pyridylazo complex adsorbed at liquid-liquid interfaces studied by centrifugal liquid membrane-resonance Raman microprobe spectroscopy"Langmuir. 18. 10292-10297 (2002)
• [文献書誌] H.Watarai: "Mass spectrometry and laser-microscopy for the study of interfacial reaction in solvent extraction systems"Proceeding of the International Solvent Extraction Conference. ISEC2002. 64-69 (2002)