研究課題/領域番号 |
13130203
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金道 浩一 大阪大学, 極限科学研究センター, 教授 (20205058)
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研究分担者 |
小林 達生 岡山大学, 理学部, 教授 (80205468)
竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助手 (90260629)
鳴海 康雄 大阪大学, 極限科学研究センター, 助手 (50360615)
坂井 徹 東北大学, 理学研究科, 助教授 (60235116)
萩原 政幸 大阪大学, 理化学研究所・磁性研究室, 副主任研究員 (10221491)
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キーワード | 強磁場 / 磁化過程 / 磁化プラトー / 吸着酸素 / スピンラダー / パルスマグネット |
研究概要 |
昨年度に引き続き、阪大強磁場に設置された非破壊パルスマグネットを用いて70テスラまでの強磁場磁化測定を行い、低温で非磁性状態となる様々な試料について強磁場が誘起する磁気的な状態を調べ、「磁化の非線形な増加」や「磁化プラトー」の観測によりその量子状態の解明を行った。昨年度に報告した吸着酸素の磁性に関する研究においてさらなる進展があったのでこれを報告する。一次元的な細孔を持つCPL-1と呼ばれる銅錯体に吸着された酸素分子がスピンラダーを組み、低温でネール状態とは異なる非磁性状態となる事を昨年度報告したが、今年度は、細孔の断面が吸着量によって変化するCPL-p1という銅錯体に酸素吸着を行いその磁性を調べた。酸素はこの錯体の単位胞あたり4個程度まで吸着されるが、その吸着量に関わらず低温においても非磁性を示さない。これはCPL-1との相違点である。しかしなから、吸着量が3個の時には強磁場磁化過程においてまず飽和磁化の1/3プラトーが現れた後、30T付近から急激に磁化が増加して飽和に至る振る舞いが観測された。この傾向は吸着量が3個の時に最も明瞭に現れ、1個に減少した時でも残るものの4個まで増加すると消失してしまうことが分かった。この事からCPL-p1の吸着酸素で見られる「磁化の非線形な増加」および「磁化プラトー」は3個の酸素がユニットとなり起こす現象であると結論付けられる。古典的な描像でこの現象を考えると3個のスピンが作るフェリ的な状態(u-u-d)が低磁場で実現し、強磁場でフェロ(u-u-u)が誘起されていると理解できそうであるが、酸素分子はs=1であるため量子的な描像で考える必要がある。
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