研究概要 |
必要に応じて能動的に新たなデータを収集し、さらにユーザが能動的に知識や経験を反映させながら人は自分の知識や戦略的な行動のシナリオを作るプロセスと,これを支援するツールの研究・開発を行った。本チームで行った研究にはプロセス制御,スパムメールの発見などもあり各分野のいて高い評価を受けているが、アクティブ・マイニングという特定領域における本研究の意義を最も明瞭に示すのは,医療データを用いた下記の2件の研究である。 (a)肝炎患者の検査データからの因果モデルの構築 データから知識をより正しく発見・獲得するためにメタ学習の枠組みを導入した。対象の問題に適切な学習アルゴリズムあるいはその組み合わせ方を学習するメタ学習の結果と,ユーザの背景知識を基に因果関係を考察し、構造方程式モデリングにて因果モデルを構築した。結果,簡潔かつ汎用性のある肝炎の因果モデルが構築できた。 (b)チャンス発見二重螺旋モデルの実現 人が,いわゆるチャンスを発見するプロセスのモデルとして大澤が独自に開発した二重螺旋プロセスでは、人と計算機がそれぞれ螺旋状のプロセスで環境中のチャンスへの注目を深め、互いに相互作用を深めて行く。この手法を、医療データに適用した。人体という一見閉じた世界も、環境との相互作用無しに生存できない開世界である。そこにチャンス発見の手法を適用することにより、有益な知見を得た。 即ち、主観的な気づきや再現性のないチャンスも、思考する医師らのコミュニケーションによって客観的知識に到達するプロセスを実施した。稀な急性憎悪や鉄の増減の効果がB型肝炎の進行・治癒というシナリオ全体で重要な位置に占めていたり,C型肝炎においてインターフェロンが鉄除去療法との併用が効果を発揮するなどの知見は医療において有益な結果である。さちに、グループの思考環境デザインの簡単な改良によって失敗から科学的発見の成功に転じるなどの知見を得た。
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