研究課題/領域番号 |
13132208
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
杉本 直己 甲南大学, 理工学部, 教授 (60206430)
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研究分担者 |
川上 純司 甲南大学, 理工学部, 講師 (40289012)
松井 淳 甲南大学, 理工学部, 講師 (10264954)
藤井 政幸 近畿大学, 九州工学部, 教授 (60199297)
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キーワード | リボザイム / 物理化学 / 解析・評価 / モデル化 / 分子認識 / 核酸高次構造 / 二次構造予測 / 熱力学的パラメータ |
研究概要 |
遺伝情報だけでなく、生体系の共有結合を連結したり切断する触媒作用法を有する核酸、リボザイムは、新規核酸薬剤として病気の予防・治療において特に有用であり、バイオテクノロジー分野での実用化が期待されている。本研究では、用途に応じてリボザイムを自由にデザインすること、および反応機構の解明を通して効率よくRNAを切断するリボザイム分子を設計することを目的とした。この問題を解決するには、リボザイムの活性効率と密接に関係する二次構造を、デザイン通りに形成させることが最も重要である。これまでの研究成果として、ヘアピン構造、二重鎖構造、三重鎖構造、四重鎖構造など多様な核酸の高次構造に関して、塩基配列と熱力学的安定性の相関を明らかにしてきた。研究の最終年度となる今年度は、生体内環境を模倣したモレキュラークラウディング条件下で、これらの核酸構造の安定性がどのように変化するかを定量化した。その結果、核酸と直接相互作用しないと考えられるポリマー分子が共存することで、標準的な実験条件において予測される熱力学的安定性からの変化が観測された。まず、希薄溶液条件下で二重鎖を形成するDNAオリゴマーの最安定構造が、モレキュラークラウディング条件下ではパラレル型四重鎖構造となった。また、モレキュラークラウディング条件下で二重鎖構造形成が不利となる現象が見られた。こうした現象の理由を物理化学的に解析した結果、水の活量変化が特定の高次構造の安定性を変化させていることが解り、生体条件下で核酸が形成する高次構造も予測できる方法が見いだされた。また、これらの知見を基にして、補酵素の存在を非常に厳密に感知して効率よくRNAを切断する新規リボザイムを得ることができた。さらに、非天然型塩基を利用する人工リボザイムを設計したところ、任意の配列を切断することができる汎用リボザイムを開発することができた。
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