研究概要 |
Pt-Ru/C触媒の塗布量を変化させ、アノード触媒量と発電特性との関係を調べた結果Pt-Ru量が3.8mg/cm^2で最大出力(常圧、90℃で0.12W/cm^2)という比較的高い出力密度が得られることが分かった。一方、触媒量が5mg/cm^2以上では、低電流密度域で電池電圧が向上するものの、高電流密度域でメタノールの物質移動抵抗と思われる原因で出力が減少した。そこで、電解質表面へのスパッタリング法による白金薄膜の導入を検討した。その結果、数nm程度の電解質面へのPtスパッタが反応過電圧の低減に有効であることが分かった。しかしながら、スパッタ薄膜を導入した電極ではオーム抵抗が増大しており、その結果電流密度が大きい領域での過電圧低減につながり難いことも分かった。 DMFCの発電特性におよぼすアノード生成二酸化炭素の影響を調べた。二酸化炭素の生成速度は、電流値から6電子反応の完全酸化を仮定して求められる計算値にほぼ一致することが確認された。メタノール水溶液に二酸化炭素を飽和溶解させることにより、DMFCの電流密度は急激に減少し、電流密度の上昇と共に電流密度が不安定に振動し始めた。溶存あるいは気体の二酸化炭素の影響は出力低下を引き起こし、また電流に微小な振動や大きく一時的なスパイク状の電流変化をもたらすことが分かった。 1-methyl-n-propylpyrrolidinium,1-ethyl-3-methylimidazoliumおよびtrimethyl-propylammoniumのbis(trifluoromethanesulfonyl)imidの室温溶融塩を含浸したNafion膜を作成した.乾燥および加湿アルゴン雰囲気(水蒸気分圧0.4atm)下でイオン伝導率の温度依存性を測定した結果、高温域に置いても高いイオン伝導を示し,溶融塩含浸膜内のイオン伝導機構には水がほとんど関与していないことが示唆された.しかし,膜内のプロトン輸率は著しく低く,これはプロトンが溶融塩アニオンと強く相互作用しているためであると考えられる.
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