研究分担者 |
脇 慶子 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (70312999)
北本 仁孝 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (10272676)
北村 房男 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (00224973)
谷山 智康 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10302960)
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研究概要 |
直接メタノール型燃料電池(DMFC)の実用化にあたり,電池を構成するパーツとして重要課題となるプロトン伝導膜の開発と自動車を想定した電池システムの評価・解析を中心テーマとして研究を行なった. DMFCが問題なく稼働するためには,アノードでのメタノール酸化を促進し,電極のフラッディングやメタノール・クロスオーバーを抑制するために,150℃程度までの熱安定性を有することが要件となる.そのようなプロトン伝導膜を実現するためのアプローチとして,高いプロトン伝導性を有する無機ナノマテリアルと,熱的に安定なポリマーとを複合したナノコンポジット膜を作製した.無機材料としてジルコニウムトリカルボキシブチルリン酸Zr(O_3PC(CH_2)_3(COOH)_3)_2(Zr(PBTC)),およびバインダーとして高い熱的・化学的安定性と優れた機械特性とを併せ持ったポリベンズイミダゾール(PBI)を用いた.PBIは伝導性に乏しい(〜10^<-12> S cm^<-1>)にもかかわらず,Zr(PBTC)/PBI複合膜は200℃加湿条件下で3.82×10^<-3> S cm^<-1>という非常に高い伝導性を示すことが明らかとなった.さらに,膜をH_3PO_4で処理したり,熱硫酸処理することによって伝導性をそれぞれ5.24×10^<-3> S cm^<-1>,および8.13×10^<-3> S cm^<-1>にまで向上させることに成功した. 一方,システム評価に関しては,燃料電池システムの作動条件である温度,相対湿度,投入ガス組成がシステム効率に及ぼす影響を調べ,効率的なシステムの提案をすることを目的とし,セルのモデル化をし,運転条件によるセルの過電圧,発電効率の計算結果からシステム効率を評価した.計算を簡略化するために,セルを分割し,等価回路を用いて電流-電圧特性を算出し,その結果を燃料電池の全体システムに用いて,エネルギーバランス,マスバランスを求めた.その結果,相対湿度と効率との関係は出力によって変化することがわかり,相対湿度の低い条件では燃料電池自動車のほうが既存のガソリン自動車に比べて,走行距離の点で優位であることが示された.
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