研究概要 |
MCFシリカを型剤にメソ細孔性炭素を調製できるが、本年度は合成条件を検討した。MCFシリカはP123トリブロックコポリマー2gの1.6M塩酸水溶液75mlに1,3,5-トリメチルベンゼン(TMB)を加え、310-313Kに保ちつつ攪拌、4.4gのシリコンテトラエトキシドを滴下、攪拌後、373Kで一昼夜放置した後にろ過、773Kで焼成することにより得られるが、MCFシリカ1gあたり4.61gのショ糖を水溶液として2度に分けて硫酸とともに加え、433Kで乾燥、最後にAr下加熱、炭化終了後HFでシリカを除去すると,MCF炭素を得る。 TMB量を変化させた場合、量の増大に従って,細孔径が増大するが、窓径は殆ど変わらない。MCFシリカは、電子顕微鏡(TEM)写真から泡が相互に付着して泡間が窓となりていると考えられるが、泡間接合面の面積が不変で泡径のみ増大することが示される。一方MCF-シリカの細孔径の増大に伴って、MCF炭素の細孔径は減少する。これは、MCF炭素が型剤であるMCF-シリカと位相的に同型でないことを示している。MCF-炭素のTEM写真より求まる平均一次粒子径とBET比表面積の結果から、MCF炭素は穴の無い均一な粒子の集合体であり、粒子間空隙がメソ孔となって。いることが結論付けられる。この場合でもメソ細孔径は幅の狭い分布となる。このようにMCF-炭素とMCF-シリカはともに泡状であるものの細孔構造は大きく異なる。 炭化温度を900から1400℃に変化させ場合、黒鉛に起因すると考えられる粉末X線回折ピークが炭化温度とともに強度を増大させる。これらの炭素およびVulcan XC72に白金を担持、カーボン・ペーパーに塗布した。これらの電極により0.1N硫酸水溶液中で酸素還元を行ったが、どの炭素に担持した白金もほぼ同様の酸素の活性化能を示した。
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