研究課題/領域番号 |
13135101
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
二宮 正夫 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)
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研究分担者 |
小林 誠 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, ダイヤモンドフェロー (90025453)
風間 洋一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60144317)
藤川 和男 日本大学, 理工学部, 教授 (30013436)
米谷 民明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10091521)
川合 光 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (80211176)
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キーワード | 超弦理論 / 弦の場の理論 / 場の量子論 / 真空構造 / 非摂動的研究 / 統計熱学 / 格子ゲージ理論 / 数値物理学 |
研究概要 |
本研究において、研究代表者の二宮は、ホルガー・B.ニールセン博士(デンマーク国立ニールス・ボーア研究所、教授)と共同で、素粒子論的量子宇宙論と統計熱力学の第2法則(エントロピー増大の法則)を統一的に記述する理論を提唱した。具体的には、半現象論的な現在のエントロピーの定式化をもとに、更にその背後に存在すると予想される基本法則の一般論を展開した。実際に我々のこの理論を用いることによって場の量子論的宇宙論の長年の難問:宇宙定数は観測上、何故極めて小さいのか、またインフレーション理論における様々な難問、に回答を与え得ることを示した。 二宮はまた超弦の生成、消滅を記述する超弦の場の理論の研究を進展させるため、これまで唯一、無矛盾な光錘ゲージの弦の場の理論の成果と反省の上に立って、フェルミオン場だけでなくボソン場に対してもフェルミオン場と同様に負エネルギーモードも含めた、全てのモードに対する量子化法を追求した。実際、ボルガー・B.ニールセン博士と共同で、ポソン場に対しても,(ディラック流の)負エネルギーの海を構成することにより、新しい量子化法を定式化した。この方法によって場の量子論における奇異な事実:カイラルフェルミオン場の異常項、共形場の異常項などが極めて物理的に理解できるようになり、新しい発展が期待される。また弦の理論の新しい量子化、さらには弦の場の理論の構成に展望を与えると考える。 岩崎は筑波大数値物理学センターの専用マシンを使用し、素粒子の標準理論を用いて、ハドロンの性質・質量や崩壊確率等を世界に先駆けて計算した。更に、これまで困難とされてきた動的クォークを含んだ標準理論を用いて計算することに成功した。 藤川は彼自身が提唱した異常項の計算法を用いて、ゲージ理論の位相項の基本的な相違を見出した。 米谷は超弦理論のソリトン解のD-ブレーンを場の理論的に定式化する方法を提唱し、詳細に自身の理論を研究した。 川合は超弦理論の非摂動的構成的定式化において、彼自身が提唱した最も有力なタイプIIB行列理論を用いて、曲率を記述する、つまり一般相対性理論を具体的に取り入れる方法を構築した。
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