研究課題/領域番号 |
13135204
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩崎 洋一 筑波大学, 副学長 (50027348)
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研究分担者 |
太田 滋生 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50183025)
青木 慎也 筑波大学, 物理学系, 教授 (30192454)
大川 正典 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (00168874)
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キーワード | 格子量子色力学 / 大規模数値シミュレーション / 動的クォーク効果 / 小林・益川行列 / ハドロン質量 / B中間子崩壊定数 / B中間子崩壊の形状因子 / 核子の励起状態 |
研究概要 |
物質を構成するクォークの強い相互作用は量子色力学に支配されており、そのダイナミクスを定量的に理解することは素粒子物理学の最も重要な課題の1つである。本研究では非摂動的な定式化である格子量子色力学の大規模数値シミュレーションによって、強い相互作用のダイナミクスの研究を進めてきた。得られた成果は以下の通りである。 1.2つの軽い動的なクォークの効果を取り入れたシミュレーションを行い、その効果によってハドロンの質量などの物理量が実験値をほぼ再現することを示した。また、量子色力学の位相的な性質が動的クォークによってどのような影響を受けるかを研究し、理論的に予測された振る舞いを確認した。 2.小林・益川行列の決定に必要なB中間子の崩壊定数を動的クォークの効果を取り入れたシミュレーションで計算した。今までのクエンチ近似での結果より、10-20%程度大きな値が得られ、この結果は小林・益川行列の決定に大きな影響を与える。 3.B中間子の弱電磁崩壊に関する形状因子を計算した。複雑な物理量なのでクエンチ近似での計算であったが、意味のある答えを得ることができた。したがって、動的クォークを取り入れたシミュレーションで形状因子を計算することが今後の課題である。 4.今まで困難であった3つの動的クォークを取り入れた新しい数値シミュレーションの方法のテストを行なった。そして、この方法が大規模な数値計算に適用可能であることを実証した。そして、3つの動的クォークを取り入れたシミュレーションには格子理論特有の相転移があること、また、ゲージ作用の改良でその相転移を取り除けることを発見した。3つの動的クォークを取り入れた本格的なシミュレーションが今後の課題である。 5.カイラル対称性の性質の良いドメイン・ウォール・フェルミオンを用いて、核子の励起状態の質量などを計算した。この結果は励起状態に関する実験に対して有益な情報を与えると考えられる。
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