研究課題/領域番号 |
13135204
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩崎 洋一 筑波大学, 学長 (50027348)
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研究分担者 |
青木 慎也 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30192454)
太田 滋生 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50183025)
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キーワード | 格子QCD / 3つの力学的クォークの寄与 / 連続極限 / 非摂動的O(a)改良 / カイラル摂動論 / ドメインウォールフェルミオン / Bパラメタ / クォーク質量 |
研究概要 |
今年度の研究成果は以下の通りである。 1.動的クォークの効果を取り入れた格子QCDの数値シミュレーション:今まで2つの力学的クォークしか取り入れられていなかったが、自然界に存在する3番目のクォークであるストレンジを取り入れた計算を昨年度に引き続いて継続して行なった。非摂動的にO(a)改良された作用を使って本格的な計算を行い、ハドロンの質量や崩壊定数、クォーク質量などを計算した。2つの格子間隔での計算が終了し、その結果を連続極限に外挿することで、2つの力学的クォークしか取り入れていない場合に比べて、中間子の質量などは実験値とよく一致するという非常に肯定的な結果を得た。これらの結果は2004年にシカゴで開催された格子理論の国際会議で発表された。現在、論文を準備中である。また、さらに格子間隔を細かくした計算が進行中である。 2.物理量のクォーク質量依存性に関する研究:計算時間の問題で格子QCDのシミュレーションは本当にクォーク質量よりかなり重いところで計算しなくてはならず、理論の予言値を出すにはそこから外挿する必要がある。外挿にはカイラル摂動論という軽いクォークの有効理論が用いられるが、格子データの振る舞いを再現できないという問題があった。本研究では、昨年に定式化された格子間隔の寄与を取り入れた新しいカイラル摂動論をテストするために、より小さいクォーク質量での数値計算を行ない、理論の予言を確認した。 3.力学的ドメインウォールQCD:カイラル対称性の良いドメインウォール・フェルミオンを使って、力学的クォークの寄与を含んだ格子QCDの計算を行ない、ハドロン質量や崩壊定数、ハドロンの弱電磁魚横列要素などを計算した。特に中性K中間子の混合Bパラメタの力学的クォークの寄与を含んだ本格計算は世界で初めてである。
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