研究課題/領域番号 |
13135204
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青木 慎也 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30192454)
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研究分担者 |
太田 滋生 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50183025)
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キーワード | 格子QC / 3つの力学的クォークの寄与 / 連続極限 / 非摂動的0(a)改良 / QCDOC / 核子構造 / K中間子の電弱遷移 / クエンチ近似 |
研究概要 |
今年度の研究成果は以下の通りである 1.昨年度に引き続いて3つの力学的クォークの寄与を含んだ格子QCDの数値計算を行った。非摂動的に0(a)改良された作用を使って本格的な計算を行い、ハドロンの質量や崩壊定数、ストリング張力、クォーク質量などの計算を3つ目の一番小さい格子間隔で行った。前の2つの格子間隔の結果と合わせて物理量の連続極限への外挿を行った。その結果、中間子の質量などが2つの力学的クォークを入れた場合とくらべて実験値と良く一致するという昨年までの計算をより高い精度で確認することが出来た。これらの結果は2005年にアイルランドのダブリンで開催された格子関係の国際会議で発表された。現在、最終的な解析を行っておりそれが終わり次第に論文を発表する予定である。 2.格子QCD数値計算、特にクォーク場の量子的効果を正確に取り入れることを目標に昨年度まで開発を進めてきたQCDOC計算機の実機製作を完了した。大きな配位としてはピーク計算性能が各10TFlopsの配位を理研BNL研究センター、エディンバラ大学(UKQCD)、ブルックヘイヴン国立研究所(USDOE)向けに1台づつ製作した。これらの計算機を使用して縮退した軽いフレーヴァー2つと(upとdown)とやや重いフレーヴァー1つ(strange)のクォーク場の量子的対生成消滅効果を取り入れた格子QCD数値計算によるハドロン物理学の研究を開始した。既に計算のパラメーターを決めるための準備的計算をおえ、まず格子切断が2GeV弱程度、格子体積が(2.5fm)^3弱程度の格子を用いる本格的計算を開始した。 3.旧型のQCDSP計算機を用いて進めてきたクォーク場の量子的対生成消滅効果を軽いフレーヴァーをupとdownの2つに限って取り入れる計算を完了し、主要な結果を論文にまとめ投稿した。クォーク場の量子的対生成消滅効果を取り入れないクェンチ近似による核子構造に関する研究も完了し論文を投稿した。クェンチ近似でより高い格子切断を用いた計算も終了し、K中間子の電弱遷移に関する主要な結果を論文にまとめ投稿した。チャームに関する主要な結果は現在論文執筆中である。
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