研究課題/領域番号 |
13135204
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青木 慎也 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (30192454)
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研究分担者 |
太田 滋生 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50183025)
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キーワード | 格子QCD / 3つの力学的クォークの寄与 / 領域分割ハイブリッド・モンテカルロ / PACS-CS / Blue Gene / L / オーバーラップ・クォーク / QCDOC / ドメインウォール・クォーク |
研究概要 |
今年度の研究成果は以下の通りである。 1.筑波大学計算科学研究センターにおいて開発、製作された超並列計算機PACS-CSを用いて、3つの力学的クォークの寄与を含んだ格子QCDの数値計算を開始した。昨年までの研究と同様に非摂動的にO(a)改良された作用を使ったが、前回よりも大幅に軽いクォーク質量で計算することを目標にした。そのため、新しい計算アルゴリズムである領域分割されたハイブリット・モンテカルロ法を採用し、いろいろなテストを行なった。また、その結果を基に本格的な計算を開始し、1つの格子サイズ、体積で計算を終了し、その結果は2006年にアメリカのアリゾナで行なわれた格子関係の国際会議で発表された。現在は、同じ格子間隔、より大きな格子体積で、さらにクォーク質量を軽くした大規模計算を行っている。 2.2006年3月に高エネルギー加速器研究機構に導入されたIBM製の超並列計算機Blue Gene/Lを用いて厳密なカイラル対称性を持った格子QCDの数値計算を開始した。オーバーラップ・クォーク作用を用いた2フレーバ=QCDでトポロジカルな電荷を固定してゲージ配位を生成した。中間子の質量や崩壊定数、カイラル凝縮などいろいろな物理量を計算し、そのクォーク質量依存性を研究した。また、K中間子の混合パラメタの計算も開始した。これらの結果はアリゾナで行なわれた格子関係の国際会議で発表された。また、結果の一部はすでに本論文として発表され、雑誌に投稿中である。 3.昨年度に引き続いてQCドC計算機を用いて3つの力学的クォークを含んだ格子QCDの数値計算を行なった。今年度は昨年度の試験的な計算結果に基づいて本格的に計算を行ない、ハドロンの質量、崩壊定数、K中間子の混合パラメタ、k中間子の形状因子などいろいろな物理量を計算した。これらの結果はアリゾナで行なわれた格子関係の国際会議で発表された。結果の1部は本論文として発表され、雑誌に投稿中である。 4.上記の本格的な大規模数値計算以外にも、力学的クォークの寄与を含んだゲージ配位を用いた中性子電気双極子能率の計算、3つの力学的クォークの寄与を含んだQCDのフレーバー1重項に属する擬スカラー中間子の質量の計算、ドメインウォール・クォークを用いた核子の構造の研究、ドメインウォール・クォークを用いた重い中間子の性質の研究など、いろいろな応用研究や発展的な研究も行なわれた。
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