研究課題/領域番号 |
13135207
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉村 太彦 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70108447)
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研究分担者 |
諸井 健夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60322997)
棚橋 誠治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00270398)
日笠 健一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20208739)
福島 正己 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (30241227)
福来 正孝 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40100820)
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キーワード | 宇宙の相転移 / 超対称性理論 / 余剰次元 / 宇宙背景輻射 / CP非保存 / カイラル対称性の力学的破れ |
研究概要 |
1.今年度は、クインテッセンス場やモジュライ場といった標準模型には存在しないスカラー場を仮定した宇宙模型における宇宙背景放射の揺らぎの研究を行い、特にスカラー場の揺らぎから生じる等曲率揺らぎの効果が、将来の観測でどのようなシグナルとして見え得るかを議論した 2.スカラートップクォークはパートナーのトップクォークが重いため,特異な崩壊の様相を示す。特にフレーバーを変える中性カレントによる崩壊は特徴的である。この崩壊とボトムクォークへの崩壊が混在する場合について,ハドロンコライダーにおけるスカラートップ対生成を検出する方法を考案し,検出の感度を評価した。 3.余剰次元ゲージ理論でのカイラル対称性の力学的破れについて、ギャップ方程式および有効ポテンシャルの方法を用いた解析を行ない、その相構造を明らかにした。この計算は、余剰次元におけるトップクォーク対凝縮などの電弱対称性の力学的破れの模型の構築に応用することができる。 4.宇宙においては、粒子が反粒子よりも圧倒的に優勢である。これには素粒子の反応におけるCP非保存の現象が密接に関連すると考えられる。小林・益川の理論が予想するB中間子における大きなCP非対称性を、KEKBファクトリーのBELLE装置を用いて、初めて実験的に検証した。 5.サドベリーニュートリノ実験における荷電カレントによるフラックスの測定は、太陽ニュートリノ問題がニュートリノ振動によるものであることを確定的なものとした。この結果を含むすべての実験結果より、素粒子の各種統一模型のテストに資すべく、ニュートリノ混合行列の決定を試みた。 6.宇宙初期における電弱相転移が一次になることを想定して、宇宙環境中で起こる一次相転移を一次元量子力学系のトンネル現象として解釈し、その時間的発展を解析した。トンネル効果を引き起こすポテンシャルが準安定相において2次項以外の非線形効果を含むことから非線形共鳴効果が存在する。準安定相におかれた粒子が、環境からのエネルギーを得て非線形共鳴を起しえることにより、トンネル効果、従って一次相転移が促進される機構を同定した。
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