研究分担者 |
石原 秀樹 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80183739)
野尻 伸一 防衛大学校, 応用物理学科, 助教授
白水 徹也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10282716)
伊藤 克司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60221769)
椎野 克 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50313325)
|
研究概要 |
細谷は共同研究者のBuchertと森田(沖縄高専)とともに、物質優勢宇宙においてその非一様性の指標として相対エントロピーを提案した。そして、それは時間とともに減少するであろうと予測し1次の摂動論と球対称宇宙の場合に示した。結果はPhys.Rev.Lettersに掲載された。今はその詳細を論文に纏めているところでらある。 石原はブレイン宇宙など,高次元の最大対称時空に埋め込まれた部分多様体のもつ対称性を分類した.同値類の構造は高次元空間の対称群の構造に依存することを明らかにした.また,帯電した5次元のブラックホール時空の大域的因果構造は,地平線の形に依存しており,対称性の低い場合には,全領域の初期値問題が定義できることを明らかにした。白水は今年度の研究としてDブレーンに基づいたより現実的な模型の解析を行ってきた。特に、不定性の少ない2枚ブレーン系でのブレーン上の重力理論の解析を行い、観測と矛盾のない理論が得られることを示した。また、重力定数と宇宙定数の間の関係式を示した。野尻は超弦理論の検証の手がかりを得るために、暗黒エネエルギーの研究を中心に行った。状態方程式パラメーターと呼ばれる量は現在の観測では-1程度と言われているがもし-1より小さいとビッグリップと呼ばれる特異点が未来の時空に現れる。この特異点付近では弦理論や量子論による補正が重要になるのでその効果を中心に調べた。伊藤は東北大の荒木岳夫と東工大の大塚晶久と共に,N=2調和超空間上の一般的な非反可換変形について詳しく研究した.N=2非反可換調和空間上のN=2超対称U(1)ゲージ理論の変形された作用を一般の変形パラメータについて1次まで具体的に求めた.さらに変形されたカイラルN=2超対称変換を計算した。綿引はU(1)ゲージ対称性と軸性U(1)ゲージ対称性を持つ超弦理論の量子化を、共変ゲージと光円錐ゲージの2つの方法で行った。量子化の結果、背景場の臨界次元は12となり、重力場が出てくることも確認された。椎野は事象の地平線のトポロジーの分類を行った。特異点理論の援用によってトーラスブラックホールの一般性が明らかになった。また、非可換幾何学を応用して、代数化された重力理論の定式化に端緒がついた。代数化された一般相対論は新しい量子重力理論の候補になる。 以上纏めると、超弦理論から期待される宇宙としてのブレイン宇宙についての相対論的な研究、素粒子場の理論の研究が進み、一方、非可換理論など超弦理論を支える基礎理論の研究も着実に進んでいると言える。
|