研究概要 |
非摂動くりこみ群によるQCDにおけるカイラル対称性の破れの解析においては、多フェルミオンの有効作用をどのように構築して部分空間を構成するかが課題となっている。ゲージ不変性を大幅に改善する部分空問が提案されているが、それを用いて、有限密度系、有限温度系を含む広い範囲の理論への適用を試みた。 非摂動くりこみ群による解析によって、超共形理論に結合した、超対称標準模型を考察した。そこでは、クォークやレプトンの大きな異常次元のために、湯川相互作用の大きさに階層的な構造が生まれることがわかった。また、ソフトに超対称性を破るスカラー質量項は、赤外領域で新しいタイプの和則を満たし、フレーバー問題を生じないことが可能であることを示した。同じく、スカラーフェルミオンの質量項もこの和則のおかげで縮退するが、それには補正項も発生し、完全にフレーバー問題をなくすことはできていない。 結び目状ソリトン解を有する方程式として1976年にFaddeevによって提出された非線形シグマ模型の研究は,近年の数値的解析によって大きく進歩した.本研究では,Faddeev模型に重み関数を導入した三つの模型を考察して,解析的ないくつかの結果を得た.一つの模型では場の運動方程式が第V種のPainleve方程式に帰着することが示された.非線形シグマ模型がPainleve方程式と関係する場合があるという発見は意外であった.Painleve方程式の解は一般に動く極(境界条件あるいは初期条件に依存する極)を持つが,そのことが厳密に有限の空間領域に閉じ込められたソリトンを導くことが指摘された.重み関数の選び方によっては運動方程式が楕円関数を用いて解ける場合があることも示された.
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