研究概要 |
非摂動くりこみ群を用いた研究としては、有限密度の量子色力学におけるカイラル対称性の自発的破れの解析、散逸量子系の模型としての長距離相互作用イジング模型における相関距離の評価を行った。特に、長距離相互作用イジング模型においては、離れたスピンの間の相互作用定数のある特定の線形結合で定義される有効結合定数のみで相関距離などが決まっていることがわかる。有効結合定数を導くくりこみ群の近似空間を見つけることができた。その結果、自発的対称性の破れの臨界点を推定することが可能になった。 素粒子の標準理論において、階層性問題という理論的問題があり、超対称理論への拡張がTeV領域以上での物理として最も有望視されている。しかしながら、近年ヒッグス粒子の質量に対して114GeVという下限が与えられたことにより、超対称理論でも問題が完全に解消されるわけではないことがわかった。そこで、TeV領域において標準理論に加えて新しいゲージ相互作用系を仮定し、トップクォークとの湯川相互作用が、トップクォークと新しい系の重い(複合)粒子と混合することにより有効相互作用として現れる模型を提案し、その具体的な機構や問題点についての考察を与えた。このシナリオでは上記の階層性問題が基本的に解消されると同時に、突出して大きいトップクォークの質量の生成機構をも与えている。今年度はこの様な機構を持つ模型として2つ可能性、(1)超共形対称性を持つ理論への拡張(2)超対称性の破れを与えるゲージ伝播機構として特殊な型を持つ理論への拡張、について詳しい考察を行った。 Skyrme模型の楕円関数解の特別な場合としてドメーン・ウオール解を得た。その解が実現されるためには解に含まれるパラメーターについての複雑な関係式が成立しなければならないが,それが満たされる場合があることを数値計算によって確認した。Faddeev模型においてHopf charge Qのセクターでの最小のエネルギーがQの3/4乗に比例する上限を持つことが最近明らかにされたが,様々な試行的配位を用いてその係数の上限を求めた。
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